滝沢(遠軽出身)登る先は4年後の「頂」 26年冬季五輪追加競技・山岳スキー
2月26、27日に富山・黒部市の宇奈月温泉で開催された「山岳スキー(スキーモ)競技日本選手権」で、遠軽町白滝出身の滝沢空良(24、スポキチクリニック)が「インディビジュアル(個人)」と「スプリント」の2種目を制覇した。昨年7月、2026年冬季ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪の追加競技に決定。クロスカントリースキーの強豪・旭大高出身で、国内女子の第一人者が4年後の飛躍を目指し、練習に励んでいる。
「大自然を満喫」
一度は諦めた五輪の夢へ、日本最強の“冬”山ガールが挑む。日本選手権では五輪種目の「個人」に3度目の挑戦で初優勝。滝沢は「大きい目標ができた。それをめがけて頑張ろう」と、一気に世界へと広がった。
山岳スキーとの出会いは2017年夏。急斜面を走って登り、下りる「スカイランニング」のユース世界選手権に初出場で2位。その時に海外選手から冬はトレーニングとして山岳スキーをやっていると聞き、帰国後から取り組んだ。「スキーモは自分の力だけで山を登って下る。大自然を満喫できる」と、爽快感と達成感に夢中になった。
翌シーズン、日本選手権に初出場すると、クロカンで鍛えた走力を武器に「バーチカル」で初優勝。「個人」で2位に入った。そして、今季ついに2冠を達成した。苦手の下りも「年々下れるようになってきた」。週の半分近くは、手稲山を練習拠点に苦手克服に取り組んでいる。
五輪出場枠は男女各24人。「まだ日本から出られるとは限らない」と、壁が高いのは百も承知だ。来季からは国際大会への出場も視野に、クラウドファンディングなどで遠征資金を募り活動の場を広げていく。大好きな山登り同様、一歩一歩、着実に頂へ向かって歩みを進める。(西川薫)
■山岳スキーとは
欧州の山岳警備隊や軍隊の冬季訓練がルーツ。かかとが浮くスキー板の滑走面に滑り止めのベルトを付けて斜面を登山したり、時にスキー板を背負って坂を上る。滑降時にはベルトを外してかかとを固定して、決まった動作を繰り返してゴールを目指す。1924年パリ冬季五輪でミリタリーパトロールという名称で実施されたが、以降の大会では採用はされなかった。昨年7月、26年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪での競技復活が決定された。世界の競技人口は約250万人で国内は約200人。