札幌ラストプレーで…野々村会長との惜別の一戦は痛恨ドロー
15日にJリーグチェアマン就任 はなむけの勝利とはならなかった
■J1第4節 札幌1―1横浜M(12日、札幌ドーム)
北海道コンサドーレ札幌はホームで横浜Mと対戦し、1―1で引き分けた。後半25分にFW菅大輝(23)のゴールで先制したが、同ロスタイム5分のラストプレーで失点。土壇場で追いつかれた。Jリーグチェアマンに就任する野々村芳和会長(49)の札幌でのラストマッチを勝利で飾れなかった。それでも、首位争いをする横浜Mと互角に渡り合い、好ゲームを披露した。
開幕から4戦連続△も「Jリーグにとって素晴らしいゲーム」
はなむけの勝利は、ラストプレーで水泡に帰した。後半ロスタイム5分。横浜MのDF実藤が放ったオーバーヘッドが、クロスバーをたたいてゴール内に弾んだ。後半40分にFW小柏が負傷退場。交代枠を使い切っていた札幌は終盤、10人での戦いを強いられた。猛攻を耐えるもあと一歩。最後の最後で破られた。
FW菅のゴールもむなしく、ドロー決着。試合後のセレモニーでマイクを持った野々村会長は「札幌にとっては残念だが、Jリーグにとっては素晴らしいゲームをした」とたたえた。喜怒哀楽、ドラマが詰まった90分間の芸術。「サッカーは一つの作品」と表す次期チェアマンが求める、競技の魅力が凝縮された。
主将のMF宮沢は「最後の最後でやられてしまって残念。一人一人の(球際の)寄せをもっとこだわらないと、勝ちにつながらない」と肩を落とした。これで開幕から4試合連続の引き分け。それでもリーグ屈指の攻撃力を誇る強豪と、真っ向から互角に打ち合った。
今季リーグ戦初勝利が手からこぼれ、ペトロビッチ監督は落胆を隠せなかったが「相手が強くても自分たちの哲学を曲げずに挑むのが札幌。(指揮)5シーズン目で、安定的な戦いを出せるようになってきている」。経営と現場が一枚岩になって歩んだプロジェクトは、着実に前進している。
試合終了後、野々村会長はスタジアムを一周。何度も深々と頭を下げた。サポーターはあふれる感謝を横断幕にした。「ありがとう野々村芳和 再会は表彰台の前で」。クラブ発展の功労者は目を潤ませ、次のステージへと向かった。
村井チェアマン来訪で盟友「ノノさん」にバトン
野々村会長にバトンを託す村井満チェアマン(62)も札幌ドームを訪れた。「北海道のみなさんにメディアを通じて、ノノさんをお借りする感謝を伝えたい」と村井チェアマン。「ずっと支えてくれた盟友として、野々村さんの力量には一点の疑いもない。喜んで彼にバトンを渡すことができる。コンサドーレのサポーターには喪失感があるかもしれないが、彼が日本サッカー界を盛り上げることでコンサドーレに恩返しをしてくれると思う」と活躍を期待した。
菅パパ初弾をゆりかごダンスで祝福
FW菅が“パパ初弾”で、レギュラー奪還へ猛アピールした。0―0の後半開始から投入されると、同25分にMF荒野のヒールパスに抜け出し、左足でゴール右に突き刺した。1月30日に第1子が誕生し、イレブンはゆりかごダンスで祝福。「勝ちきれないのは悔しいし、悲しい結果だが、まだ今季負けなし。次の試合こそ勝ちきって、上位に食い込んでいければ」と切り替えた。