大海 粘投5失点も12球団新人最速10勝スルリ
■日本ハム1-3西武(14日、メットライフドーム)
大海、12球団新人最速10勝お預け―。日本ハムは15日、西武と敵地で対戦し、3―3で引き分けた。2桁勝利に王手を懸けていた先発の道産子ルーキー・伊藤大海投手(24)は本調子ではなく、5回7安打2失点で降板。1点リードで勝利投手の権利は得ていたが、八回に4番手・井口和朋投手(27)がつかまり、同点に追いつかれた。打線は序盤の3得点にとどまり、追加点を奪って援護することができなかった。
粘りに粘ったが、両リーグ新人一番乗りとなる10勝目はお預けとなった。序盤から苦しい投球が続いた。5回7安打2失点。何とかリードしたままつないだが、全てのイニングで得点圏に走者を背負うなど、慎重にならざるを得ない場面が続いた。結果、球数もかさみ、五回終了時点で104球。中継ぎ陣に託すほか、選択肢はなかった。
八回に追いつかれ、10勝目の権利は消滅。チームも引き分けに終わった。伊藤は「試合を支配しきれなかった。いい流れのままブルペンにバトンタッチできなかった。自分に責任がある試合かなと思います」と反省ばかりが口を突いた。
一回2死から森に二塁打を浴びると、続く中村に中前適時打を許した。この試合最初にあたった中軸との対戦結果が、その後の投球に影響した。この日は森に1安打2四球、中村に2安打1四球と全打席で出塁させてしまった。「ずっとこっちがかわして、かわして、五回までいって、それ以上できることがなかった」。チームの1点リードを保つのが精一杯だった。
直球に手応えを得られず、投球の幅も狭まった。「勝っている時、長いイニングを投げる時は投球自体のバランスもいい。ここぞという時に(直球と変化球の)どっちでも決められるのが自分のいいところ」と振り返った。
「自分のピッチングをする間がなかった」という投球内容だったが、試合はつくった。栗山監督は「こういう日もある。いつも勝ったままマウンドを降りるっていうのはすばらしいこと」と右腕の粘投を評価した。
進化を続けるため、常に変化を求めている。この登板間の調整でも試行錯誤を繰り返した。これまでプレート板は三塁側の一番端を踏んで投球していたが、前日14日は握り拳一つ分を空けてブルペン投球を行い、この日の一回の投球でも試した。二回からは元に戻したが「ボール自体は、ずらしている方がしっくりきていた」と収穫を得た。
尽きない向上心さえあれば、10勝目はすぐにつかめるはずだ。「もう一回、見つめ直して、次の登板に準備したいです」。結果を受け止めて、また階段を上り始める。
(十島功)
■堀 2年ぶり50試合登板あと「1」
自身2年ぶりの50試合登板にあと「1」と迫った。1点リードの七回から3番手でマウンドへ。3番・森を10球粘られた末に空振り三振に仕留めるなど3者凡退に抑えた。ここまでリーグトップの34ホールドポイントをマーク。最優秀中継ぎ投手賞のタイトル獲得に向けて前進している。