ファイターズ
2022/03/24 14:37

《大海の部屋》連載第2回は開幕直前スペシャル 大海の試合がもっと楽しくなるピッチングバイブル

自身の持ち球を包み隠さず解説した伊藤。これもファンサービスの一環だ(撮影・桜田史宏)

 日本ハム・伊藤大海投手(24)の連載手記「大海の部屋」第2回は開幕直前スペシャルと題し、投球の極意を詰め込んだ「ピッチングバイブル」を公開。7種の変化球を持つ道産子右腕が、持ち球の握りや使い方を分かりやすく解説した。あす25日にシーズンが幕を開ける。これを読めば伊藤の投球を見るのがさらに楽しくなること間違いなし!

全球種を紹介

 いよいよプロ2年目のシーズンが開幕します。今季のテーマは野球を楽しむ。ファンの皆さんにも僕の投球を見ながら、このボールを投げたかったから、さっきツーシームを投げたのか―など伏線回収を楽しんでもらいたいです。そこで、今回は持ち球を全球種ご紹介させてもらいます。

球速より精度のストレート

 基本というか、ないと投球が成り立たない。一番難しいボールです。普段だと、146~8キロ台でファウルや空振りを取れますし、決めにいく時はマックスを出すイメージで投げています。
 大学時代の最速は155キロですが、プロ入り後は153キロ。もちろん、163キロを出せるロッテの佐々木朗希くんがうらやましいですし、最速を更新したい思いもあります。でも今、重点を置いているのはコントロール。直球の質向上は永遠のテーマです。

無限大!自慢のスライダー

 僕の代名詞。種類は無限大です(笑)。打者のスイング軌道によって、変化量や速度が違う。だから毎回、同じボールではないんです。例えるなら、毎日、同じものを食べたら面白くない感覚ですかね。縦と横で、親指の位置が極端に違います。その他の微調整は、人さし指と中指の力の入れ方を7対3とか6対4とか変えています。

カーブは緩急で決めるべし

 回転の向きは変えていませんが、球速が異なります。110キロ台が普通のカーブで、それ以上になるとナックルカーブ。100キロ以下になるとスローカーブです。開幕前のオープン戦では投げたい時に1球で決められるよう、スローカーブを多く試しました。シーズンに入ったら何試合かに1回投げるかどうか。いつ投げるか楽しみにしていてください。

使い勝手抜群 カットボール

 ストレートのように速く、スライダーより曲がりが小さい。僕は真っすぐがカット気味にスライドするので、一番、便利なボールです。カウント、ファウルを取れるし、ゴロも打たせられる。スライダーは高めに投げられませんが、カットボールならできる。真っすぐと投げ方が変わらないのでミスも少ないです。

まだまだ研究 スプリット

 今年、課題に挙げているボールです。まだ、ストレートやカットボール、ツーシームとセットでしか使えないですし、初球から打ち取れるかといったらそうではない。理想は楽天の田中将さんやオリックスの由伸のように速いもの。140キロちょっと出せるようになりたいです。

奥行き出せるチェンジアップ

 元々、好きじゃないボールです(笑)。奥行きを出すただの遅い真っすぐなので、打たれたら後悔が残ると前は思っていました。東京五輪期間中に広島の森下から握り方を教えてもらい、一つの武器になりました。精度が上がれば、投球がより楽になるはずです。

左の秘密兵器 スプリットチェンジ

 プロ入り後に生み出したスプリットとチェンジアップのいいところ取りな変化球です。昨季はソフトバンクの柳田さん、楽天の島内さんといった左打者に投げました。シンカーに近い、ちょっと違う攻め方をしたい時に使う僕の秘密兵器です。

キャンプで手応え ツーシーム

 昨季は試合で何球か投げましたが、しっくりきませんでした。オフに練習を重ね、今は割と良い感じです。春季キャンプ中、速いのと遅いのを投げ分けていたら、スプリットが良くなったので、フェード気味の速いツーシームを使っていこうと考えています。
 現時点でシンカー、シュートの習得は考えていません。ビッグボス体制となって臨む新シーズン。この「ピッチングバイブル」を参考に、僕の投球を存分に堪能してくれたらうれしいです!
(伊藤大海)

あす開幕「意識の持ちよう」

 開幕前最後の登板となった18日のDeNA戦は6回4失点(自責2)と不安を残したが、開幕ローテーション入りは確実。伊藤自身も「変化球だったり、課題はハッキリ見えている。大きく変えるというよりは気持ち、意識の持ちようかな」と受け止めている。今季の目標は「まず去年の自分を超えたい」。新人ながら10勝を挙げた昨季の成績を上回り、2年目のジンクスを打破する。

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