ファイターズ
2022/03/28 14:23

万波1号 トンネル抜けた~ 「最高!きょうは寝られません」

五回に同点2ランを放った万波は打球を目で追い、サク越えを確信する

■日本ハム4-6ソフトバンク(27日、ペイペイドーム)

 日本ハムの万波中正外野手(21)が27日、敵地でのソフトバンク戦に「9番・右翼」でフル出場し、1―3の五回に一時同点とする今季1号2ランをぶっ放した。チームは若鷹軍団に4―6で敗れ、開幕3連敗を喫したが、若き大砲が新庄剛志監督(50)の期待に応える一撃を見せつけた。万波は守備でも好プレーを披露。四回に持ち前の強肩で右前打を放ったジュリスベル・グラシアル内野手(36)の二塁進塁を阻止した。チームはあす29日からの本拠地開幕3連戦で巻き返しを図る。

 結果だけを見れば、開幕3連敗。しかし、希望は確かにある。ビッグボスチルドレンの筆頭候補と目される万波が、らしさ全開のフルスイングで今季1号を放った。

 「開幕スタメンを逃したのが、めちゃめちゃ悔しかった。オープン戦の最後の方はずっと悪かったので、自分の実力不足なのは明白。でも、とにかくやり返したいという思いは強くあった。ホームランが出て、気持ちがすっきりしました」

 打った瞬間、本塁打を確信した。五回の第2打席。1死三塁、カウント2―1から、杉山の外角高めカットボールを一閃(いっせん)。打球はきれいな放物線を描き、左翼スタンドに飛び込んだ。今季初安打が一時同点の2ランとなり、「最高! きょうは寝られません」と喜びを爆発させた。

 ビッグボスからの熱い助言が、悩める若き大砲の心を軽くした。12日の広島戦での本塁打以降、オープン戦は19打席連続無安打。開幕後も2試合で3打席全て三振と不調だったが、27日の試合前練習で「悩んでいるの見たくないな。ウジウジやんのは、やめようぜ。何メートル前のボールを振ってもいいから、思いっきりいこう」と背中を押された。「それで本当にちゃんと前を向けた」。指揮官の〝エール〟に、ド派手な一発で応えて見せた。

 万波にはプロ野球選手以外に、もう一つ夢があった。「中学、高校時代から、将来は起業したいと思っていました。就職ではなく、自分で何かをしたかった」。口だけではない。パナソニック創業者の松下幸之助ら有名経営者たちの著書を熟読し、知識を吸収してきた。

 「考え方やメンタルの部分で、そういう人たちは一貫してトライし続ける」。過去には2軍戦であえて打撃グローブをつけず、素手で打席に立ったこともある。今オフは体の操作性を向上させるため、ウエートトレーニングを一切やめた。さまざまなことに挑戦する姿勢の根底には、偉人たちから学んだフロンティアスピリットがある。

 シーズンはまだ始まったばかり。「前を見てやっていくしかないので、次の3連戦をしっかり取れるように頑張っていきたい」。今度は本拠地・札幌ドームで、チームを勝利に導くアーチを描いてみせる。

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