■日本ハム０－４西武（２９日、札幌ドーム）

開幕４連敗 今季初の零封負け

　新庄劇場第２章の幕開けだ！　日本ハムは２９日、札幌ドームで本拠地開幕戦を迎えた。試合前のセレモニーで新庄剛志監督（５０）はホバーバイクに乗って登場。宣言通りの世界初ド派手パフォーマンスを披露した。チームは本拠地からの仕切り直しを図ったが、西武に０―４で完敗。今季初の零封負けで開幕４連敗を喫した。先発登板したエースの上沢直之投手（２８）は８回４失点と粘ったものの、打線は４度の得点機に一本が出なかった。

　極上のエンターテインメントが本拠地の開幕を彩った。暗転した球場内でスポットライトを浴びたビッグボスが、巨大なドローンのような乗り物にまたがって宙を舞った。２万８６８人のファンが目撃者となった世界初となる野球場での空中浮遊。再建を託された新時代のカリスマは、体を張ってセレモニーのサプライズを演出した。

　黒のヘルメットをかぶったライダース仕様の新庄監督が日本企業のＡ・Ｌ・Ｉテクノロジーズが開発したホバーバイクに初挑戦した。命綱なしで８～９メートルほど上昇し、旋回しながら着陸。場内が騒然とする中、マウンド付近でマイクを持つと「今年が、最後の札幌ドーム開幕戦。必ず、札幌から全国の皆さんを笑顔にできるチームをつくっていきます」と高らかに宣言した。

　監督就任当初から構想を練り、下調べや準備に時間を費やした。高所恐怖症でも腹をくくり「楽しんでもらいたい気持ち。ずっと目をつぶっていた。協力してくれたスタッフに感謝しかないですね」と言葉をつないだ。

「心のアルバムに刻んでもらえたら」

　選手の登場シーンにもこだわりが詰まっていた。センターバックスクリーンに帆船が姿を現し、スタメンがそこから特設のエレベーターに乗ってグラウンドに降りてきた。会場が沸いた。「記念に残ってもらえれば。みんなの心のアルバムに刻んでもらえたら、うれしい」という指揮官の願いが込められていた。

　ただ、歓声や拍手の後押しを受けても、勝利は遠かった。満を持して登板したエースの上沢は、山川に２被弾するなど、８回４失点。打線は西武ルーキーの佐藤に要所を締められ、細かなミスも重なって零封負け。１９９７年以来２５年ぶり、北海道移転後では初となる開幕４連敗を喫した。

　試合後、新庄監督は「球場にこれだけ足を運んでもらったのに楽しい試合を見せられなくて…」と悔やみ、取り直すように言った。「選手たちが懸命にやっての結果だから。これを乗り越えて、どんどんどんどん成長してもらいたい。まだ始まったばかりや！　そう思ってもらえたら、いいです」。若い選手を預かる“船長”はチームを強くするため、目先の勝敗だけにとらわれず、手を打ち続ける。

球場入りはマクラーレン！

　○…本拠地開幕戦に合わせ、新庄監督は英国のスポーツカー「マクラーレン」に乗って球場入りした＝写真。オレンジ色のオープンカーで、注目度は満点だ。冷たい外気に触れながら自ら運転し「めちゃくちゃ寒かった。格好良さは、何かを耐えないといけないので」とニヤリ。乗り心地は上々で「アクセルを踏んだら、空飛ぶんじゃないかなと（思った）」と目を輝かせていた。（札幌ドーム）