ファイターズ
《鶴岡慎也のツルのひと声》明暗分けた「布石の1球」
■日本ハム0-7オリックス(2日、京セラドーム)
1球の〝ミス〟が明暗を分けた。二回。先発の伊藤がバレラに先制打を許し、その後に1死二、三塁。打席に太田を迎えた。初球から3球連続でスライダー系の球を続け、2度の空振りで追い込んだ。4球目に選択したのは直球。このボールがシュート回転し、若干、甘く入ったところを右前に持っていかれた。
太田はスライダーにまったくタイミングが合っていなかった。だが、4球連続で同じ変化球を続けるのは、バッテリーとしても避けたい。右前打された直球は、次のスライダーで空振り三振を奪うための「布石の1球」だったと予想する。
相手先発は山本。球界屈指の右腕だ。0―1と0―2では雲泥の差がある。好投手と対戦する時はロースコアに持ち込み、プレッシャーを掛け続けるのが鉄則だ。
伊藤も、マスクをかぶった清水も1点の重みを再認識しただろう。これからチームを背負っていかなければならないバッテリー。当然、多くを求められる。良い経験と受け止めてほしい。
一方、打線では石井が七回に14球粘って四球を選んだ。好投手を攻略するためには必ずしも自分で決着をつける必要はない。次のバッターへのつなぎも大事。それを示してくれた。(本紙評論家)