ファイターズ
ビッグボス 清宮よノースリーから打て
■日本ハム0-2ロッテ(5日、札幌ドーム)
後悔はみじんもなかった。絶好機をフイにした拙攻も、ビッグボスは未来につながると信じていた。「目先の1勝より今後の成長」。試合前から繰り返し発した言葉に、批判さえも受け止める覚悟が凝縮されていた。
2点を追った七回1死満塁。「代打清宮」が告げられると、この日一番の歓声が上がった。マウンドのルーキー広畑は制球が定まらず、カウント3ー0。ベンチからは強気に「打て」のサインが出ていた。清宮は真ん中付近の150キロの直球を見逃した。新庄監督はベンチで苦々しい表情を浮かべた。
本物のスラッガーへ覚醒のため〝英才教育〟
試合後、その真意を明かした。「ノースリーから、おまえに期待して打てと。変化球がきたとしてもいいのよ。ガーッと振ってくれたら。ボール球に手を出しちゃいけないとか、そういう気持ちではなく、一発で仕留めにいく。フライだろうが、全然いいんですよ」。結果は3ー2から捕邪飛だったが、過程が重要だった。打てばヒーローのシチュエーションに燃え、大胆にスイングする姿勢を欲していた。
本物のスラッガーとして覚醒させるため、失敗の経験も込みで〝英才教育〟を施している。「本人が一番悔しかったと思う。ただ、以前のような中途半端なスイングはなくなってきている。高いフライも上がってるし、紙一重。その紙一重が一番難しいのだけど。調子が上がってきて、真芯でとらえて喜んでいる姿を見たいね」。小さくまとまるなーという親心が垣間見えた。
二回の無死満塁は犠飛すら打てず、五回の無死一、二塁では痛恨の犠打失敗。エース上沢を援護できないまま、早くも4度目の零封負けを喫した。これで開幕から10試合を消化して1勝9敗。屈辱的にも映るスタートだが、未来につながる意味は、きっとある。