《ヴォレアスV1昇格へのキーマン③》道産子リベロ渡辺 攻撃の起点に
V2男子のヴォレアス北海道が9、10日に神奈川・小田原アリーナで行われるVC長野(V1最下位)との入れ替え戦に臨む。コロナ禍の中止や僅かなポイント差の敗戦を乗り越え、この入れ替え戦は3度目の挑戦。昇格の鍵を握る最後のキーマンは、江別市出身のリベロ・渡辺俊介(25)。V1東レや独・ブンデスリーガ1部で活躍した元日本代表だ。
世界知る元日本代表「上を目指す」
経験豊富な道産子リベロが正確なサーブレシーブで攻撃の起点となる。「僕のパスの精度で攻撃ががらっと変わる。パス1本の精度にこだわっていきたい」と、大一番を見据えた。
普段、コート上では全身を使っての激しい感情表現でチームを鼓舞するが、3月27日のシーズン最終戦でV2初優勝が決定すると、思わず天を仰ぎ感極まった。「うれしかった。気持ちもすごく入っていた。結構、涙もろい」と、照れ笑い。いつもとは違う一面をのぞかせた。
小学時代は江別中央ガッツでプレーした。その後、埼玉の名門・深谷高に進み、春高2連覇。V1東レ時代の2016―17シーズンは、主将としてプレミアリーグ優勝に貢献。同シーズンに日本代表としてワールドリーグに出場するなど、世界を知るリベロだ。
19―20シーズンにプロ転向。独・ブンデスリーガ1部・エルトマンで腕を磨き、昨季から加入した。昨年の入れ替え戦では苦い思いを喫したが、「去年は去年。今年は明らかにエド(監督)がやりたい戦術に対する遂行度はかなり上がっている」と、手応えを感じている。
2年目の今季はリーグ戦23試合82セットに出場し、サーブレシーブの成功率はリーグ4位の70.8%をマーク。「まだまだ上を狙わなければいけない。V1のアタックは速さも重さも違う。V2をなめてるわけじゃないけど、違う」と、自身を奮い立たせた。
チームには修羅場を経験していない若手も多数在籍する。「チャンスは平等にあるわけじゃない。そのチャンスをいかにつかみ取りにいくか。それに向かって努力をするのがすごく大事。それは自分自身にも当てはまることだし、出るからには、出られない選手の分もしっかりやらなければいけない」
バレーを始めたころは、国内トップリーグに所属する北海道のチームはなかった。「一人でも多くの子どもたちに目指してもらえるような存在でいたい。まずは自分のやれることを一生懸命やって、北海道のバレーボール界に貢献できたら」
9日から始まるV1入れ替え戦では必ず昇格を達成し、将来を担う卵たちに、国内最高峰の舞台で戦う姿を見せる。