テンポ良く楽天打線を翻弄 加藤 わずか90球の完封劇
■日本ハム2-0楽天(19日、楽天生命パーク)
「野手と捕手のおかげ」
日本ハムの加藤貴之投手(29)が、わずか90球の圧巻完封劇を演じた。9回100球未満での完封勝利は、メジャーの伝説的好投手にちなんで「マダックス」と呼ばれる。自身初の快挙にも、殊勲の左腕は開口一番、「チームが勝ったことが良かった。野手の良いプレーがいっぱいあったし、宇佐見の配球も僕の良いところをいっぱい出してくれた。本当に野手と捕手のおかげ」と仲間に感謝した。
流れるように試合が進んだ。楽天先発・田中将との緊迫した投手戦。「メジャーでも活躍された方なので、意識はしましたけど、自分のやることに集中して投げました」と、一歩も引かずに投げ勝った。警戒していた同学年で元チームメートの西川に対しては、一回に四球で出塁されるも、3打数無安打に抑え込んだ。
四球や安打を許しても併殺を奪い、七回まで二塁を踏ませず打者21人でピシャリ。八回に2死一、三塁とこの日唯一のピンチを招くも、代打・銀次を初球のシュートで遊ゴロに仕留めた。九回は3者凡退。最後の打者から空振り三振を奪うと、引き締め続けてきた表情がようやく緩んだ。
完封は昨年10月18日に同じ敵地・仙台での楽天戦で達成して以来、自身2度目。リズム良く打たせて取り、内野ゴロで計16個のアウトを奪った。理想的な内容に「ゴロでアウトが取れたし、自分のボールを投げられた。テンポ良く投げられたので、良かったと思います」と手応えを口にした。
若手中心の日本ハム投手陣の中では、経験豊富な兄貴分だ。同じ左投げの2年目・根本からは特に慕われている。鎌ケ谷でフォークの投げ方を聞かれた際には、快く伝授した。後輩左腕は「加藤さんは制球力がすごい。気持ちの面でも見習うところがたくさんある。いろいろ話を聞かせてもらってありがたい」と頭を下げていた。
中継ぎの負担減らせるように
チームを今季初の3連勝に導いた。自身2勝目を挙げ、5試合で防御率2.17と好成績を残している。それでも加藤は「いつも中継ぎに迷惑をかけているので、たまには長いイニングをと思って投げた。負担を減らせるように、これからも頑張ります」と、最後まで謙虚な姿勢を崩さなかった。どんなときも仲間のために、チームのために―。思いを込めて、左腕を振り続ける。