吉田が〝約束の直球勝負〟で2日連続の西川斬り「次は三振で恩返ししたい」
■日本ハム5-8楽天(21日、楽天生命パーク)
数え切れぬ恩「遥輝さんは真っすぐをすごく褒めてくれていた」
〝師弟対決〟を制した。六回から登板した吉田輝星投手(21)が、2日連続で昨季までチームメートだった楽天・西川と対戦し、直球2球で中飛に打ち取った。
「三振を取りたかったんですけど、やっぱりいいバッターなので。次は三振で〝恩返し〟したいです」
約束の〝オール直球勝負〟だった。移籍決定後に連絡を取り合い、冗談交じりに「初めて対戦するときは全部真っすぐ投げます」と宣言。前日20日の初対戦でも予告通り、3球全て直球で遊飛に仕留めた。西川がベンチに戻る際には「えー球やわ」と声をかけられ喜ぶも、直後に「最後のは垂れたけどな」と〝指摘〟され「しっかり落としてくるな」と思わず笑った。「きのうは絶対、真っすぐしか投げないって決めていた。きょうも結果的に、真っすぐばっかり投げていました」。いつも褒めてくれていた一番の武器で、お世話になった先輩に成長を示した。
西川には、数え切れないほど恩がある。プロ2戦目だった2019年6月23日の中日戦で初黒星を喫した際には、そっと寄り添われ「プロ野球はいっぱい試合があるから、高校野球と違って次に切り替えなきゃいけない」と金言をもらった。翌20年にはオリックスのエース・山本を紹介してもらったこともある。西川本人からも、野球の技術面、体のケアについてなど、多くを教わった。「遥輝さんは真っすぐをすごく褒めてくれていたので、『あとは真っすぐの使い方や』とか、バッター目線の意見をいろいろ聞かせてもらった」。チームを離れることが決まった今年の正月にはラインで「頑張れよ」と激励され「そういう言葉が、今はすごい励みになっている」と力を込める。
面倒見のいい〝兄貴〟に一度、お返しをしたこともある。昨年の春季キャンプでは、日本酒が好きな西川に、吉田の地元・秋田の銘酒「雪の茅舎」をプレゼント。言葉だけでなく形で、日頃の感謝を伝えた。
7戦連続0封「きょうは調子が悪い方、工夫して抑えられている」
恩人との勝負にも勝ち、現在絶好調だ。この日は1回を投げて得点を許さず、これで登板7試合連続無失点。プロ初の連投だったが、「きょうは調子が悪い方だったと思うんですけど、先発の時よりは工夫してしっかり抑えられている」と、かつて甲子園で881球を投げたタフネス右腕は全く苦にしなかった。
プロ4年目を迎え、飛躍の予兆を見せつつある背番号18。これからも西川から得た学びを存分に生かし、「日本一の投手」を目指して真っすぐに突き進む。