金子2軍で5回無失点 1軍昇格へ「今できることをしっかりやりたい」
■イースタン 日本ハム0ー4西武(28日、鎌ケ谷)
復活へ、虎視眈々―。日本ハムの金子千尋投手(38)が28日、2軍西武戦に先発し、5回2安打無失点の好投を披露した。今季まだ1軍での登板はないが、ここまで2軍で3試合に登板し2勝0敗、防御率1.13。通算129勝を誇る実績十分の右腕が、結果でアピールを続けている。
好投も厳しい自己評価
この日は立ち上がりからテンポ良く、少ない球数でアウトを重ねた。ストライク先行で3三振を奪い「結果だけ見たら一応無失点なので、悪くはないと思います」とうなずいた。それでも「じゃあよかったかって言われたら、反省するところの方が多いです。三振も結果オーライで取れた球」と厳しく自己評価した。
課題に挙げたのは、決め球の精度。「僕の悪い時のパターンは、どうしても追い込んでから甘くなる」。一回1死で若林と対戦した場面では2球で追い込むも、3球目が狙いより甘く、安打性の打球を飛ばされた。中堅・片岡の好捕に救われたが「あれは2ストライクから投げる球ではない。1球1球を見たときに、まだ追い込んでからの投げミスが多い。1軍ではいい結果につながることの方が少ないと思うので、まだまだです」と気を引き締めた。
今年でプロ18年目だが、春季キャンプでは2、3日に1回のペースでブルペン入りし、精力的に投げ込んだ。しかし、3月13日の教育リーグ、ロッテ戦では5回を投げ9失点を喫するなど調子が上がらず、開幕1軍を逃した。「キャンプは打者と対戦するよりピッチング(投球練習)がメイン。そこに慣れすぎてしまった。いい球、強い球を投げようとしすぎて、いざバッターが立ったときに、それが力みにつながってしまった」と反省を口にした。
再び1軍のマウンドで輝くため、2軍では結果と同じくらい内容を重要視している。「オープン戦でも自分の納得できる投球が少なかった。そこをしっかりクリアしないと、1軍に呼ばれることもない。結果も内容もどっちもしっかり求めたい。2軍でシーズンが始まってからは、オープン戦のときよりはバッターと勝負できているなという感じはしますね」と、徐々に手応えをつかみつつある。
ヤクルト石川をお手本に
手本にしている存在がいる。42歳にして一線で活躍を続け、23日には21年連続勝利の偉業を達成したヤクルトの石川だ。「失礼になるかもしれませんが、スピードがそんなにない中でもしっかりバッターを抑える。もちろんキレもいいんだと思うんですけど、打者がストレートに振り遅れるし、空振りが取れる。今、自分が必要なのはそういうピッチングなのかな。僕も140キロ出るか出ないかくらいの球が多いので」。150キロを超える剛速球はなくとも、熟練の技を武器に戦い続ける先輩左腕の姿に自身を重ね、大きな可能性を感じている。
140キロの直球を、いかに速く見せるか―。金子の答えは明快だ。「140キロの投げ方をして、140キロを投げたらそのまま。あたかも120キロしか出ないようなピッチングフォームで140キロが来たら、そこに20キロの差が生まれる。バッターをだますじゃないですけど、そういうピッチングができたらなと思います」と不敵に笑った。
チーム最年長の38歳は、現状維持よりさらなる成長を求めている。「いつ(1軍に)呼ばれてもいい状態にはしておかないといけない。それがプロだと思う。でもそればっかりにとらわれると、足をすくわれる。しっかり地に足をつけて、今できることをしっかりやりたい」。2軍にいる時間を1秒たりとも無駄にすることなく、進化した姿で晴れ舞台に戻るつもりだ。