コンサドーレ
【本紙評論家・平川弘】W杯で日本を率いる姿見たかった【オシム氏を悼む】
哲学的な表現の「オシム語録」印象的
オシムさんが亡くなられた。日本代表の監督も務められ、サッカー界に大きな功績を残した人物である。脳梗塞で倒れて代表監督を退かれたが、W杯でオシムさんが率いる日本を見たかったと今も思っている。
代表監督というより千葉の監督の印象の方が私の中ではすごく強い。試合後の監督会見。だいたい会見ではカメラがまわっているので、日本人監督は本当のことや本音は語らない。だがオシムさんは違って、独特の言い回しでそのゲームを斬ってくれた。それが「オシム語録」というやつで、私は千葉の監督会見を毎回楽しみにしていた。本当にサッカーの勉強になる有意義な時間だった。
ペトロビッチ監督の会見は冗舌で面白いが、オシムさんの会見は哲学的で厳しい言葉も並んだ。印象的だったのは「水を運ぶ人」である。ボランチなどの縁の下の力持ちのことを指すオシム語録。「水を運ぶ人がいなければおいしい水を飲むことはできない。FWだけでなく、守備で頑張る選手にもっとフォーカスしなさい」。私たち記者に平然と言い放った。FWだが献身的に守備をする元代表の巻も、こうして育てられたのだろう。
パス回しに連動性を出すにはどうしたらいいか。「頭を使いながら走れ」と、ルール制限をした特異な練習で選手に連動をイメージさせた。ペトロビッチ監督はオシムさんの下でコーチをしていた。その練習は札幌でもやっている。(本紙評論家)