ファイターズ
《荒木大輔のズバリ解投》上沢 試合途中のギアチェンジで好投披露
■日本ハム3-2西武(7日、ベルーナドーム)
チームを乗せる価値ある1勝
やっと勝ち星がついた上沢だが、状態は決して良くなかった。直球のスピード感はいまひとつ、スライダーも引っかかり、フォークもしっかり落ちていなかった。ハッキリ言うなら、不安定な立ち上がり。表情も冴えなかった。
ここまで6試合に先発し、未勝利。特に責任感の強い投手なので、いろんな思いを背負っていたのだろう。うまくいかない自分へのいらだちも相当だったはずだ。
五回までは毎回、出塁を許した。それでも2失点にとどめた。西武は源田が新たに離脱し、捕手も1年目の古賀。クリーンアップを中心に、抑えなければいけないポイントがハッキリしていたのも奏功した。
チームが逆転した直後は「エースの自覚」を体現した。六、七回はいずれも3者凡退。12勝を挙げた昨年のような上沢らしいピッチングを見せてくれた。たとえ状態が悪くてもギアを上げて別人の投球を披露できる。それがエース。雑念を振り払って集中力を高め、マウンドで躍動していた。
この1勝は大きい。次回からはスタートと同時に自分の力を発揮できるだろう。これでチームも乗っていける。エースの白星には、それだけの価値がある。(本紙評論家)