石川直が954日ぶり1軍登板「ワクワクした」外崎、山川、おかわりを圧巻の3連続K
■日本ハム1-5西武(8日、ベルーナドーム)
20年にトミー・ジョン手術 復帰後最速タイ149キロ出た
忘れられない10分間となった―。4点ビハインドの七回、トミー・ジョン手術から復活を目指す石川直也投手(25)がマウンドに上がった。2019年9月27日のオリックス戦(札幌ドーム)以来、954日ぶりの1軍登板。気持ちは自然と高ぶった。
プレートに足をかける直前、気持ちを落ち着かせるように、5秒ほど意識を集中させた。先頭打者に二塁打を浴びたが、その後は外崎、山川、中村から得意のフォークで3者連続三振。実戦復帰後最速タイとなる149キロも計測した。「楽しかったです。やっぱり緊張もしましたし、すごいワクワクしました」
2020年8月に手術を受け、昨年10月28日のフェニックス・リーグ巨人戦で復帰を果たした。キャンプインが迫った1月中旬、「日本だと普通だけど、アメリカだともう少し長い。2年ぐらいかかると思ってやります」と、右腕に焦りはみじんも感じさせなかった。
守護神も「奪い取る」「160キロ出せたらいい」
夏場の完全復活―。思い描く野望がある。トミー・ジョン手術は過酷なリハビリトレーニングにより、球速がアップする場合がある。元チームメートの中村勝(オリックス)が、まさにそのケースだ。日本ハム時代の直球は130キロ台後半だったが、昨季参戦していたメキシカンリーグでは最速148キロを叩き出した。
「勝さん(中村)は手術後に連絡をくれました。球も速くなってますよね。僕も160キロを出せたらいい。まずは最速更新ですね」と自己最速の156キロ超えどころか、夢の160キロ到達をも見据えている。
そして、家族が大きな力を与えてくれた。1月26日には第1子の長女が誕生。出産まで「お互い頑張ろう」と励まし合っていたという。春季キャンプでは「助産師さんのYouTubeが妻から送られてきて、その情報で一緒に勉強しています」と、野球とは別の〝育児強化〟も図っていた。
ようやく再スタートを切れる。改めて、守護神奪取への強い気持ちも見せた。「今は北山がやってますけど、ここからは奪い取る気持ちでやっていきたい」。ブルペン陣の中に、頼もしい剛腕が戻ってきた。