偉業かつ偶然! ノーヒッター1日に2人誕生
道科学大高・竹田&函工・五十嵐が達成
春の支部大会では、2016年以来となる無安打無得点の大記録達成者が、1日に2人も誕生した。一人目は札幌支部Cブロック2回戦で、道科学大高2年の左腕エース・竹田一翔(いっさ)投手が、札月寒相手に9回12奪三振4四死球で投げきって2―0勝利。二人目は函館支部3回戦で、函工の五十嵐諒真投手(3年)が、函大谷に9回16奪三振1四球で5―0勝利し、達成した。
▽春季全道高校野球札幌支部Cブロック2回戦(10日) 道科学大高2-0札月寒
竹田「変化球で散らしていった」
道科学大高のベンチ入り最小兵、163センチの竹田が大仕事をやってのけた。九回2死一塁。「バッター集中で、ノーノーはあまり意識しないでやっていた」と、最後の打者を外角の真っすぐで打ち取り、自身初の無安打無失点投球を成立させた。
好投の予感はあった。「ブルペンで良い感触のまま試合に入ることができた」。一回、先頭打者を三振に切って取ると、次打者に四球を与えたが2者連続三振。三回までは直球主体で攻め、相手が直球を狙いにきていると気づくと、「変化球で散らしていった」とクレバーに対応した。
試合は味方打線もわずか2安打で適時打がなく、緊迫した展開。渡辺誉人監督(24)は「走者も毎回のように出していたので、試合が終わるまで(無安打と)気づかなかった。今後はストライクからボールになる変化球をもう少し増やしていければ」と期待を込めた。
野球を始めた札宮の森中では、外野手と兼任。高校で投手に専念するとすぐに頭角を現した。渡辺監督は「制球が良くてコーナーを突いて投げられる」と、1年秋からエースナンバーを与えた。冬の体づくりを経て体重は約10キロ増の63キロ。「自分で抑え込んでやろうという自覚が生まれた」と成長ぶりにも目を見張る。
14日の準決勝は、渡辺監督の25歳の誕生日。竹田は「出したくないところで四球を出したりしたので、(課題は)もっと詰められる」。さらなる好投で指揮官へバースデー勝利を届けてみせる。
▽函館支部3回戦(10日) 函工5-0函大谷
五十嵐 緩急を付けて打線を翻弄
身長170センチと投手としては決して大きくない函工の主戦五十嵐が無安打無得点の大記録を達成した。
130キロ台の直球と、キレのあるスライダーを織り交ぜ、緩急を付けた投球が持ち味。直球の走りが良くなかったという序盤はスライダーを丁寧に低めに集め、打者を打ち取った。「真っすぐが走るようになった」中盤以降は、直球を決め球にぐいぐい押す投球に組み立てを変えた。積極的に打ちにくる函大谷打線を翻弄し、九回には3者連続三振を奪う気迫の投球をみせた。
冬場は下半身のウエートトレーニングを強化し、球速がアップ。腕の振りをコンパクトにしたことで制球にも磨きをかけた。
山本裕也監督(41)は「力んでいる時は捕手の田中がうまく落ち着かせていた」と、バッテリーの呼吸が合っていたことを高く評価。その上で、「これまでで一番いい投球内容。強力打線を相手に価値ある記録。人生の財産になる」と顔をほころばせた。