両親の前で〝初勝利〟伊藤大海が本拠地初完封でリーグトップタイ4勝
■日本ハム1-0ソフトバンク(13日、札幌ドーム)
白熱の投手戦制す「千賀さんの姿を見て学びながら投げた」
27個目のアウトを奪うと、緊迫していた表情が破顔した。1点リードの九回2死二塁、先発・伊藤大海投手(24)の116球目だった。ソフトバンクの中村晃を二ゴロに仕留め、自身2度目となる今季初完封勝利を挙げた。
7連勝と波に乗っていた相手に対し、一回からアクセル全開だった。最速152キロの直球とキレのある変化球を緩急自在に操り、12球団トップのチーム打率.270、リーグ1位の156得点を誇る鷹打線を翻弄した。
難攻不落の剛腕・千賀との投手戦を制し、「自分のやるべきことに集中できていた。千賀さんに引っ張られて、良い形になったのかなというのもある。自分がそういう風な選手になれるように、と千賀さんの姿を見て学びながら投げていた」と振り返った。
本拠地初の完封勝利は、右腕に重圧をかけてはいけないと、お忍びで観戦に訪れていた両親へ最高のプレゼントにもなった。プロ入り後、両親の目の前で白星を挙げたことがなく、一つの目標としていた。いつも「帰る場所」をつくってくれている2人に、これ以上ない勝利を届けることができた。母・正美さんも「最高です」と大喜びの夜となった。
楽天・田中将らに並んだ「勝って勝って、いい報告できるように」
今季はキャンプイン直前に新型コロナの陽性判定を受けて出遅れた。復帰後はBOSS組(2軍)からのスタート。昨年、東京五輪にも出場した侍右腕は新人から注目の的だった。特に達や畔柳、長谷川威らからは、プロの打者などについての助言を求められた。
「僕も去年を思い返してみたら、本当に(試合で)投げるまで分かんないような感じだった。今、こうやって聞けるってことはすごい。僕もそうありたかった」と大きな刺激を受けた。そんな伊藤も「そんな先輩として見なくていいよ」と接しやすい雰囲気をつくり、後輩の意欲的な姿勢に応えていた。
楽天・田中将らと並び、リーグトップの4勝目。「まだまだ勝って勝って、最終的にみんなにいい報告ができるように頑張りたいと思います!」。不吉とされる「13日の金曜日」だが、札幌ドームには多くの笑顔が咲き誇った。