ファイターズ
ビッグボス 2死2ストライクで意表つく万波セーフティースクイズ
■日本ハム5-3西武(20日、札幌ドーム)
大きなリスクでも「あれだけサードが下がっていたら面白いかなと」
感情が思わず行動に表れた。勝利の余韻が残る札幌ドームで、ヒーローインタビューが始まろうとしていた時、ビッグボスが軽い足取りで会見場に姿を現した。派手なサングラスを逆さまに付けたまま、取材に応じようとした。おちゃめな小ボケで報道陣を笑わせ「最初に点を取られたけど、間違いなく逆転してくれるなと。何か安心して見ていられますね」と誇らしげに選手をたたえた。
ジワジワと西武の高橋を追い詰め、七回に宇佐見が満塁走者一掃の二塁打を放って逆転。その後、浅間に適時打が生まれてリードは3点に広がった。ここで、新庄監督の思考は加速した。
2死二、三塁。18日の試合で本塁打を2本を放っていた3番の万波が、追い込まれてからセーフティースクイズの構えを見せた。結果的にボール球でバットを引いたが、サインミスを疑われるほどのトリッキーな選択だった。
ファウルは許されない。フェアゾーンに転がしても、投手や捕手の通常の守備範囲なら、あっけなくアウトになる。大きなリスクをはらんだ作戦の意図を新庄監督は自ら明かした。「一発でポンと決まれば(良かった)。あれだけサードが下がっていたら面白いかなと思って。イケイケだったから、あの時は。もう1点取ったら楽に(なった)」。
動揺する相手バッテリーの虚を突くような一手。守備陣形や、ベンチの警戒度なども冷静に分析していた。予想を裏切る采配に価値がある。「そういう野球もあると。ベンチにいる選手も、ここでこういうことがあると、頭の中のどっかに入れさせる作戦でもあるから」。成功すれば御の字で、失敗しても相手に奇襲の印象を植え付けられる。常識に縛られない指揮官は後に回収する伏線をたくさん、張り巡らせている。