宇佐見 満塁走者一掃!逆転二塁打で連勝導いた「ボスの助言のおかげ」
■日本ハム5-3西武(20日、札幌ドーム)
陰のヒーローから正真正銘のヒーローに
いつも献身的に投手を支える女房役の宇佐見真吾捕手(28)が、主役をかっさらった。1点を追う七回、1死満塁。西武のエース・高橋が投じた初球のフォークを、迷わず振り抜いた。打球は左中間を真っ二つに破り、走者一掃。逆転の3点二塁打で、チームを2連勝に導いた。
「(伊藤)大海が頑張ってくれている中で、前の人たちがつくってくれたチャンスだったので、何とか一本出せればという気持ちで打席に入りました。球種どうこうよりも、初球から振っていこうと心がけていた。それが結果につながって良かったです」。
5月13、14日のソフトバンク戦で投手陣を好リードし、2試合連続の0封勝利を達成した際、ビッグボスから「陰のヒーローは宇佐見君」とたたえられていた。この日はバットで試合を決め、正真正銘のヒーローとなった。お立ち台では「キャンプの時にビッグボスから助言をいただいて、それを継続してやっている中で結果が出ているので、ボスの助言のおかげで打てています」と感謝した。
春季キャンプから取り組んできたのが、指揮官から勧められた〝ボンズ打法〟だ。かつて米大リーグ・ジャイアンツでビッグボスとともにプレーした大砲。メジャー通算762本塁打を誇るバリー・ボンズの打ち方を参考に、フォームを変えてきた。
「キャンプ中は毎日(ボンズの動画を)見ていました。モノマネじゃないですけど、助言をいただいたからには、できるところは動きを寄せていった。左手をそのまま(最短距離でボールに)ぶつけるというイメージ。速く左手を出すイメージ。それで長くボールを見れるようになっている」。
昨季は32試合に出場し、43打数5安打、打率.116と低迷した。今季はすでに31試合に出場し、82打数22安打、打率.268。ボンズ打法の手応えは、結果となって表れている。
ビッグボスも絶賛「練習はうそをつかない。いい感じになっていますね」
数日前には、ビッグボスからのテコ入れもあった。「打ちにいく時、ちょっとグリップを上げてから、同じようにスイングしていったら、強い打球が打てるよ」とアドバイスされ、すぐさま実践。調子を上向かせた。指揮官は「彼、器用なので、すぐそれができて、いい打球がここ何試合か続いてきている。それを続けさせて次はさらに(グリップの位置をどんどん上げるしぐさを見せて)上に上に上に上げさせる(笑)」と冗談交じりに絶賛した。
監督就任以降、選手たちの取り組みに目を光らせてきたビッグボスは、宇佐見の野球への姿勢を高く評価している。「キャンプ中でも、居残りで最後の最後まで。ああいう姿勢っていうのは、何カ月後かに出てくるから。そういうところはやっぱり、練習はうそをつかない。何かやってくれそうな。いい感じになっていますね」と大きな期待を寄せている。
ヒーローインタビューに呼ばれた選手は、テレビカメラへ「ありがとう」とサインを記すのが恒例。この日、堂々と真ん中に書いた先発の伊藤とは対照的に、宇佐見は右下の端に控えめに記した。リードを褒められても「ピッチャーが良かったので」と決しておごらない。殊勲の活躍をしても、自身は一歩下がって投手を立てる。謙虚で誠実な性格が、今季の躍進と無関係ではないだろう。