主力温存の東海大札幌高 9番井上が逆転V打
3年ぶりの有観客で開幕した。1回戦3試合が行われ、東海大札幌高は7―4で稚内大谷に勝利。先制を許した直後の四回に9番・井上麗次右翼手(3年)が逆転の2点二塁打を放った。投打の中心を欠く中、春季全道タイの9犠打を記録するなど、つなぎの野球で勝利をつかみとった。
▽春季全道高校野球第1回戦23日、札幌円山)東海大札幌高7-4稚内大谷
大会タイ9犠打 つなぐ野球で初戦突破
東海大札幌高が、つないでつないで、打線もチームも一つになった。主将の唐川侑大右翼手(3年)はベンチ外、プロ注目の最速149キロ左腕・門別啓人投手(3年)は最後までブルペンで待機。それでも選手層の厚さを見せつけ、最後は稚内大谷の追い上げを振り切った。
大脇英徳監督(46)は「その2人だけに頼ることのないように、部員103人全員で勝ちにいくぞという気持ちで臨んだ。いいゲームができて良かった」と、会心の勝利に笑みを浮かべた。
唐川に代わって右翼で今季公式戦初先発の井上が勝負強さを発揮した。四回、前の打者が犠打で2死二、三塁と広げた好機。3―1からインコース高めの真っすぐを左翼線へ運ぶ二塁打で2者が生還。井上は「チームバッティングを意識していた。少し詰まりながらだったけど、うまく落ちた」とはにかんだ。
昨季は背番号8でベンチ入りも、今大会は2桁。大脇監督は、「そういった悔しさを持っている。あそこで安打が出なかったら、嫌な流れになっていた。ナイスバッティング」と、起用に応えた井上に賛辞を贈った。
井上は前夜、唐川からマッサージを受けて「頑張れよ」とゲキを受けて試合に臨んだ。「2人に頼ってばかりではダメ。自分たちだけでも勝てるという証明になりましたし、そこは自信になりました」。互いに切磋琢磨しながら、勝ち進む。
稚内大谷1点差肉薄も 本間監督「逆転したかった」
4点ビハインドの六回。先頭から4連打などで3点を奪って1点差に迫ったが、追い上げはそこまで。母校との公式戦初対決に敗れた本間敬三監督(38)は「もっとやれた。追い付いて、逆転したかった」と、悔しさと手応えが同居した内容だった。「この粘りを生かして甲子園へ」。名寄支部悲願の初出場へ巻き返しを図る。