【西川薫】高校野球の風物詩が3年ぶり復活 円山球場に戻った全校応援とブラスバンドの熱気
高校野球といえば、選手はもちろんですが、無くてはならないのがスタンドの応援です。今春、北海道の高校野球にも、ようやく3年ぶりに風物詩が帰ってきました。23日に開幕した春季全道高校野球は、コロナ禍だった過去2年とは大きく違い、グラウンドで躍動する選手の脇を固める、もう一つの主役たちの存在が熱戦を彩っています。
円山球場の入場制限は1万2500人に緩和
これまでは保護者などを除き入場は制限されるなど、感染対策に力を注いできました。静まりかえったスタンドは、さみしさに満ちあふれているように見え、当時は本当に公式戦なのかと思ってしまったほどです。それが感染者数の低下と共に徐々に制限が緩和され、今回の春季大会では支部大会を含め、各球場5000人もしくは収容人数50%の多い方を上限に入場可能に。全道大会が行われている札幌円山の場合は、1万2500人が上限となります。初日の開会式では入場行進も行われ、スタンドには平日にも関わらず、OBや高校野球ファンが詰めかけ、選手のプレー一つ一つに送られる拍手は、グラウンドでプレーする選手たちの励みになっているはずです。
北星大付では今大会初の全校応援が実現
さらに、内野席でのブラスバンドによる応援も解禁になりました。昨秋の全道大会では、全校応援は外野芝生席からでしたが、内野席から吹奏楽部の最大50人を含む640人を上限に可能となりました。23日は旭明成の吹奏楽部が登場しましたが、25日は初出場の北星大付が今大会初の全校応援。三塁側の内野席には吹奏楽部が奏でる軽快なリズムに乗って、3年ぶりに内野席での全校応援が実現しました。まだ声を出しての応援は禁止ですが、メガホンで選手を鼓舞し、グラウンドでの一つ一つのプレーにスタンドからは感嘆の声や、ため息などの息づかいが聞こえ、定番の応援曲が流れると、ついリズムに乗って口ずさみたくなります。
敗れはしましたが北星大付の沼山健吾監督(39)は、「ありがたく感じました。生徒みんなに見てもらえて、一つになってくれた」。甲子園を目指す、この夏こそは全校応援の生徒の前で恩返しの勝利を届けたい、と刺激になっている様子でした。
各校の個性ある応援にも注目
現在の高校3年生は、コロナ禍の緊急事態宣言下で入学してきた世代。入学式などの行事ごとはほぼ行われず、授業や部活動にも制限がかかり、非常に苦しい高校生活を送ってきました。大会は26日にベスト4が出揃い、休養日を挟んで準決勝を迎えます。優勝の行方ももちろん楽しみですが、コロナの感染収束を心から願い、各校それぞれの個性がある応援にも注目したいと思います。