2年目道産子左腕・根本が強力G打線怖れずプロ1勝!
■日本ハム7-2巨人(29日、札幌ドーム)
19歳、白老町出身の道産子左腕がうれしいプロ初勝利だ! 日本ハムの高卒2年目・根本悠楓投手(19)が、29日の巨人戦でプロ2度目の先発登板に臨み、5回5安打2失点と粘りの投球でプロ初勝利を挙げた。日本ハム打線は先発全員安打の計14安打と爆発。四回には5者連続安打などで一挙4得点を挙げ、セ・リーグ2位の巨人を7―2で破った。交流戦は2カード目で勝ち越しに成功し、3勝3敗とした。
粘投5回2失点「北海道で初勝利を挙げられた。すごいうれしい」
白老の星が、公式戦初登板の札幌ドームで輝いた。高卒2年目の根本が先発で5回を2失点にまとめ、プロ初勝利。初めてのヒーローインタビューで「ねもっちゃんと呼んでください」と自己紹介し、「たくさんのファンの方に見ていただけて、北海道で初勝利を挙げられた。すごいうれしいです」と初々しい笑顔を見せた。
両親や友人も駆けつけ、2万3431人の観衆が見守る中、強力巨人打線を相手に物おじせず、堂々と腕を振った。立ち上がりは制球が定まらず、二回には岡本和に右越えソロを被弾。味方に大量援護をもらった五回は、1死満塁から犠飛で1点を失ったが、大崩れせず粘りきった。
プロ初先発だった前回4月1日のオリックス戦(京セラドーム)で、1失点ながら4安打4四球と乱れ、四回途中降板。苦い経験を糧に、2軍で徹底的にフォームを見直してきた。この日も序盤は「変に力が入って、体が前に行ってしまった」と苦しんだが、すぐに修正。「諦めずにしっかり自分のボールを投げようと思っていた。それが結果につながった」と成長を示した。
白老白翔中3年時に全国大会の決勝で完全試合を達成。その頃から、強心臓ぶりを高く評価されてきた。父・俊之さんは「周りからよく心臓に毛が生えていると言われました」と振り返る。U15日本代表で根本を指導した武田投手コーチも「遊びも入れながら、臆することなく淡々と投げていける姿勢は、当時からもう備わっていた」と懐かしんだ。
魚の加工場の染み目がけ左投げ練習「自分の原点」
野球好きの祖父にグラブを買ってもらった2歳の頃から、〝投球練習〟を始めた。根本は右利きだが、柔らかいボールを家の壁に向かって左手で投げ始め、家族を驚かせた。
小学校入学後は、近所に住む祖父母の家の隣にあった魚の加工場が〝ブルペン〟。「毎日のように、土日とか長いときは5時間くらい、壁にあった1センチくらいの染みを目がけて投げていました。自分の原点だと思います」。何万球も積み重ねた壁当てが、19歳でプロ初白星を挙げた左腕の基礎をつくりあげた。
初勝利の記念球は「ちっちゃい頃からずっと応援してくれて、かわいがってくれた」という祖父母にプレゼントする。お立ち台では支えてくれた家族へ「これからもっと勝てるように頑張りたい」と宣言した。高校時代から「勝てる投手」を目標に掲げる〝ねもっちゃん〟。1勝目は当然、長いプロ野球人生の通過点だ。
◆プロ初勝利を挙げた根本について武田投手コーチ 「本当に『5回、頑張れ』という気持ちでいたので、自分のときより疲れました(笑)。この1勝を忘れず、これがスタートだと思って、日々成長していってほしい」
母校・苫中央高は準決敗退「夏頑張ってほしい」
後輩たちの力にもなるはずだ。春の全道大会に臨んでいた根本の母校・苫中央高はこの日、準決勝で札第一高に惜敗。この悔しい敗戦から2時間17分後、エールを送るかのようにプロ初勝利の吉報を届けた。試合後、根本は「負けたんですか。でも、夏頑張ってほしい。いいピッチャーもいるので」と、夏のリベンジに期待を込めていた。