高校野球
2022/05/30 23:40

札第一が全員野球で4年ぶりV 初の春夏連覇で4度目甲子園目指す

春季全道大会を制した札第一ナイン。次は同校初の春夏連覇を成し遂げ、4度目となる夏の甲子園出場を目指す(撮影・小田岳史)

▽春季全道高校野球決勝(30日、札幌円山)札第一9-3北照

 決勝が行われ、札第一が9―3で北照を下し、4年ぶり3度目の優勝を果たした。二回に打者一巡の猛攻で一挙6得点を奪い、試合を優位に進めた。先発した渥美嘉成投手(3年)は8回2/3を投げて3失点(自責2)。中盤に追い上げられたもののリードを守った。今夏は春の王者として挑む。過去2度とも達成できなかった同校初の道大会春夏連覇で、10年ぶり4度目の甲子園出場を目指す。

先発・渥美が九回途中3失点「最後まで行きたかったけど…」

 4年ぶり優勝も喜びは控えめだった。札第一の先発・渥美は勝利を最優先に腕を振った。公式戦初完投まであと1人だったが、「序盤に6点を入れてくれて、その後は楽に投げられた。最後まで行きたかったですけど、チームが勝つことが一番」と最後の投手交代にも納得の表情を浮かべた。

 絶対的エースも、大砲も不在。まさに全員野球の頂点だ。投手陣は道大会4試合で、背番号1の田中佑弥(3年)が2試合に先発し12回2/3。渥美も2試合で12回2/3。3試合に救援した近江駿弥(2年)が16回1/3と、〝3本の矢〟で勝ち抜いた。渥美は「投手力が弱いと昨秋から言われてきた。なんとかしてチームを投手で助けられる試合をつくりたいと」と、投手陣全員で奮起。菊池雄人監督(49)は「きょうは渥美が良く投げてくれたのが勝因」とうなずいた。

「ここは通過点」菊池監督が父子鷹で夏に挑む

 準決勝まで2試合連続2桁安打の打線が決勝でも10安打と機能した。二回に3連打や相手のミスにつけ込み大量得点を奪うと、その後も走者が出ると、確実に犠打で得点圏へ進め、追加点を奪った。頂点まで1試合最低5犠打を記録し、試合の流れを引き寄せてきた。

 三度目の正直を狙う。1990年、同校OBの菊池監督が現役だった3年時、エースとして春の全道初優勝を果たした。しかし、その夏の南大会では決勝戦で涙をのんだ。春夏連覇の難しさを知るからこそ、優勝した後も「ここは通過点として、夏に向けてもう一回、戦力を整えていきたい」と気を引き締める。

 優勝しても、春は守備が安定しなかったことを猛省。監督の長男で、昨秋から背番号6を背負う菊池一遊撃手(3年)は「自分たちの代でしっかり甲子園に行けるように、課題をもっともっと詰めていきたい」。団結力でつかんだ春の経験を自信に変え、夏に向かって加速させる。

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