万波「やべっ」自ら驚くノーステップ弾 勝利呼んだ先制9号アーチ
■日本ハム5-1広島(1日、マツダ)
体勢崩されながらもバックスクリーンへ
明らかにドンピシャのタイミングではなかった。体勢を崩されながらも、コンパクトに振り抜いた打球がぐんぐん伸びて、センターバックスクリーンまで届いた。チームトップのスイングスピードを誇る万波中正外野手(22)ならではの驚弾。二回に生まれた第9号の先制ソロアーチが、勝利の呼び水になった。
手応えはそれほどなかった。ワンテンポ遅れて、低めのチェンジアップに反応した。「先頭だったので何とか出塁したいと思っていたけど、うまく打てたなと。本当にホームランになるとは思っていなくて」。懸命に次の塁を狙って走った。
打球がスタンドに吸い込まれると、満員のファンがどよめいた。打たれた先発の遠藤をはじめ、広島の選手たちもぼうぜんとしていた。ファイターズベンチでも、驚きの声が挙がっていた。中でも最も衝撃を受けていたのは、当の万波だったという。試合後にビッグボスが笑って証言した。「本人がベースを回って、ベンチに戻ってきた時に『やべっ』と言っていましたよ」
豪快なスイングが特長の一つだが、追い込まれてから、足を上げないノーステップ打法に切り替えた。それがハマった。
2ストライクアプローチがチーム全体のテーマになっていた。万波は積極性を損なわずに対処する手段を探した。金子野手総合兼打撃コーチに相談し「普通に打っていたら、なかなか難しかった。何とか粘りたいという中で、ノーステップを教えてもらった」という。
今季4度目の猛打賞も 打率ジワジワ上昇.241
四回に右越え二塁打でチャンスメークし、五回には左前適時打で貴重な追加点をもたらした。5月26日のヤクルト戦(神宮)以来、今季4度目の猛打賞を獲得した。
開幕から45試合に出場している。淡泊な凡打や三振もあるが、以前のように落胆しなくなり「気持ちの割り切りがしっかりできている」と実感する。5月半ばまで1割台だった打率はジワジワ上昇し、.241。高卒4年目の大器が今、飛躍の時を迎えている。