屈辱の無安打無得点…金子打撃コーチ「積極性を失わせないように」
■日本ハム0ー2DeNA(7日、札幌ドーム)
「〝いろんなもの〟が相まっての、見事なノーヒットノーランだった」。試合後、そう口にした金子誠野手総合兼打撃コーチ(46)の言葉には、現在の打線のレベルも含まれていた。
DeNAの先発・今永に屈辱の無安打無得点を喫した。出した走者も二回に清宮が選んだ四球一つだけの〝準完全試合〟。勢いのある若い打者の並ぶ打線は、ハマると爆発力を見せるが、零封負けが今季11度目という数字が示すように、やられるときはあっさりやられてしまう。
立ち上がりから嫌な雰囲気は漂っていた。侍ジャパンのヘッドコーチ時代、今永と共にプレーもした金子コーチは「そんなにストレートの調子は良くない感じ」と見ていたが、ビッグボス打線の特徴でもある積極性が裏目に出た。
ボール球を振って、投手有利のカウントを作られると、凡打の山を築くことしかできなかった。今永が五回を投げ終えた時点の球数はわずか62球。金子コーチは「悪循環のスタートだった。見ていて最初から思った」と振り返る。
得点できないなら降板させるすべを「そこまで至ってない」
試合前から攻略のプランを指示していることから、試合中に口を出すことは極力しない金子コーチだったが「我慢できなくて」と四回の攻撃前に円陣を組んだ。「『一生、真っすぐ前に飛ばないよ』という話はしました。(打席内での)目付を変えたところを見せてほしい」と選手個々の工夫を願ったが、実らなかった。
今季は高いポテンシャルを持つ清宮、野村、万波などの成長を後押しするような野球に取り組んでいる。失敗を恐れずに積極的に振っていく姿勢で、チーム本塁打数も飛躍的に増えた。しかし、好投手に対応できるすべは、まだ身に付いていない。
この日の試合を例に挙げた金子コーチは「今永に勝つのか、ベイズターズに勝つのか。ああやって(日本ハムの)ピッチャーが頑張っているのだから、今永を降ろすようにすればいい」と得点できないのならば、降板させればいい。「ドラッグバントだったり、粘ったり。2ストライクから、あと2球粘ったら面白いよね。10人だったらプラス20球になる」と、一つの案を導き出したが「そういうところに至っていない」。発展途上である打線のジレンマが、そこにある。
「そのへんを(各選手が)どう考えているかだと思う。そこでボール球を振っているからだよね、という話は、口酸っぱくしていかないといけない。その中で積極性を失わせないように」。首脳陣も「打線」として成熟させていく難しさに直面している。
一方で成長している選手も確実にいる。「体現できている選手も出てきてはいる。野村もそう。松本(剛)はもともとそういうポテンシャルがあった。清宮は少しボールの見方が良くなってきている」と金子コーチ。狙い球の設定や、ボール球の見極め、2ストライクアプローチなど、打席内でやれることはまだ数多くある。打者陣が「点」から「線」となれるか―。今季注目のポイントだ。