北山が球団新人最多6セーブ目「光栄なこと」93年山原和敏上回る
■日本ハム5-3DeNA(8日、札幌ドーム)
直球、フォークで危なげなく3人斬り
少しレアな球団記録を更新した。ドラフト8位ルーキーの北山亘基投手(23)が6セーブ目を挙げ、1993年の山原和敏を上回り、球団の新人最多セーブとなった。数字は意識しておらず「広報の方にお聞きして初めて知ったんですけど、記録として残るのは光栄なことだなと思います」と控えめに喜んだ。
新人が抑えを任されること自体が異例で、名誉なことだ。この日は2点リードの九回に救援。150キロを超える直球とフォークのコンビネーションで危なげなく、3人で斬った。
昨秋のドラフトで支配下77人のうち、76番目に指名された男が、激動のシーズンを過ごしている。新人ながらビッグボスから開幕投手に抜てきされ、スタートを切った。その後はリリーフに回り、実力で抑えの座に就いた。
5月24、25日のヤクルト戦では2夜連続でサヨナラ弾を浴びた。26日には3連投でリードを守り抜き、男泣きした。のしかかる重圧も含めて、初めての体験ばかり。ただ、譲れないことは主張し、貫く強情さも持ち合わせる。
移動中は読書に没頭「無我の境地、ピッチングにも生きる内容」
「準備に対する取り組み方、過ごし方は一切変えずにやってきている」と強調。「神宮で打たれても変えずに。変えると落ちていくというか、沼にハマると思った。やってきていることに自信はあったので、継続して我慢強くやるという気持ちで過ごしました」と振り返った。
プロでは遠征が増えたが、移動の機内で読書に時間を費やすことも多い。現在は『弓と禅』(オイゲン・ヘリゲル)を愛読。「弓道と禅を掛け合わせたような内容の話で、ピッチングにもかなり生きるような内容」と説明し「ゾーンの入り方。無我の境地というか。気付けばいいボールが投げられていた―というような(感覚)。精神的にも身体的にもそういう状態に持っていけるようなヒントになるかなと思って、実際にやってます」と明かした。
野球に懸ける情熱、投球に懸ける情熱は新人離れしている。向上するためなら時間と労力を惜しまないストイックな右腕は今、新生ファイターズの象徴となっている。