ファイターズ
《岩本勉のガン流F論》上沢の熱投がチームの底力引き出した
■日本ハム2-1中日(10日、札幌ドーム)
ノーヒットノーラン左腕と月間MVP右腕が繰り広げた投手戦。ともに1失点こそあったが、予想通り、いや、予想を上回る快投だった。両雄は同じフォームから、再現率の高い多彩なボールを投げ込んだ。
3、4月と未勝利だった上沢。5月は一転、4戦全勝。その5月を前に私は言った。「月間MVPを狙うぐらいの気持ちで臨んでもらいたい」と。希望的観測ではあったものの、言うのは簡単。期待に応えられる投手は、そう多くない。
何が変わったのか。ズバリ周りの目が変わったのだ。打者は「何とか勝たせたい」から「ディフェンスは任せた」と考えの角度が変化した。上沢がそれだけ信頼できる投球を続けてきたということ。となれば、付いてくる結果も当然、違ってくる。
上沢の熱のこもった投球は継投した北山と石川直の完全リリーフを引き出した。そして谷内のサヨナラ打も生んだ。
試合を決めたお見事な一打。代打も頭をよぎるシーンではあったが、ベンチは谷内をそのまま打席に立たせた。マウンドにはパワーピッチャーのロドリゲス。スインガーよりもパンチヒッターの方が勝算ありだった。その期待に応えたプロ10年目の31歳。1スイングに懸ける練習を積み重ねてきたからこその一打だった。(本紙評論家)