ファイターズ
《岩本勉のガン流F論》 不足していた一発への警戒心
前回登板で7回5失点も、自らの殻を破る勝利を挙げた加藤だったが、勝負どころで沈んだ。レアード1人にやられた。元チームメートで気心が知れている相手に痛い打たれ方をしてしまった。
「読みのいい打者」だ。データよりも、瞬時の流れや雰囲気を打席に取り込める選手。次の1点がどれだけ大きな意味を持つのかを踏まえ、打席のレアードは加藤の何を待っていただろう。その初球はやや外角よりの高めストレート。球速は137キロ。捉えた打球は左翼席に吸い込まれた。
加藤が考えるべきは投球自体よりも「一発だけはダメ」だという意識だったはずだ。球種、高さ、球速。すべてがレアードの待ち球となってしまった。ストレートでも攻め方がある。投げる側のミスかもしれないが、清水も猛省が必要だ。
最高の立ち上がりを見せながら先制の2失点、そして被弾はいずれも2死から。突然、それまでの絶好調を帳消しにする弱さが出てしまう。事が起きた時のギアチェンジができていない証拠だ。どこに落ち度があるのか、徹底的に掘り下げる作業をしなければ、同じことを繰り返すだけだ。(本紙評論家)