新庄ビッグボス 北山続投に後悔なし「また成長していくしかない」
■日本ハム4-7ロッテ(17日、札幌ドーム)
「最初の四球がちょっといけなかったかな」
傷口が広がっても、ビッグボスは動かなかった。2点リードの九回、守護神を務めるルーキーの北山亘基投手(23)が炎上した。四球と連打、守備のミスで追い付かれた後、2死までこぎ着けたが、球数が増えていく中で制御不能に陥った。直球がうわずり、ストライクが入らない。連続四球で2死満塁。ロッテの中村奨に走者一掃の左越え二塁打を浴び、トドメを刺された。
30球を超えても、新庄監督は逆転されるまで交代を選択しなかった。覚悟を決め、無言でマウンドを見つめた。大きな重圧も、1球の怖さも、経験することで強くなると、信じた。後悔は全くない。「最初の四球がちょっといけなかったかな。きょうはキレがなかった」と反省を促し「またいい経験をしたんじゃないですか。こういう場面で投げて逆転されて、また成長していくしかない」と淡々と言葉をつないだ。
試合後、武田投手コーチも同じ課題を口にした。「全ては先頭のフォアボールだと思います。あそこで大事にいきすぎて、ストライクゾーンがだんだん、自分の中で狭くなっていって、窮屈なピッチングが続いていくと、やっぱり相手に隙を与え、相手の時間になる」と指摘。続けて「ボール、ボールで入っていくと、真っすぐをしっかり振られてヒットにされている。やはり先頭への四球というのは一番いただけない、一つの流れが変わったポイントだった」と分析した。
2試合連続でサヨナラ弾を浴びたヤクルト戦(5月24、25日、神宮)と同様、新人にはあまりにも酷な結末だった。3アウト目を取れず、5失点で4敗目。先発した上沢の勝ち星も消えた。
現状、勝利の方程式は不安定だが、代替案は見当たらない。昨季のクローザーだった杉浦は先発に配置転換されている。経験と実績を備えたセットアッパーの堀と宮西は2軍調整中だ。
北山の配置転換の可能性について問われた武田コーチは「これを自分で乗り越えて、その座をずっと明け渡さない、同じ失敗を2度繰り返さないというのは大事。あす(18日)も同じ起用法でいくと思います」と、あらためて奮起に期待した。反骨心を持ち合わせる右腕は直面した試練をどうくぐり抜けるのか―。悔しさはマウンドでしか、晴らせない。