ファイターズ
2022/06/21 23:55

輝星「力以上のものが出ました」 秋田での凱旋登板で超満員スタンド沸かす

地元・秋田の夕陽に照らされながらマウンドに立つ吉田

■日本ハム0-3楽天(21日、秋田)

五回に2失点「本当は勝ちたかった」

 ビジターでも、故郷・秋田の大声援は温かかった。1球ごとに沸く歓声が、先発の吉田輝星投手(21)を後押ししてくれた。「本当は勝ちたかったですけど四回、五回は今シーズン経験していない領域なので、自分でもびっくりした。声援のおかげで五回途中まで投げられましたし、力以上のものが出ました」と感謝した。

 地元の声援を聞いた瞬間「よし、やってやるぞ」とスイッチが入った。四回までテンポ良く無失点で切り抜け、迎えた0-0の五回。1死二、三塁とピンチを招き、楽天・太田に先制の2点中前打を浴びた。4回1/3を2失点で降板。悔しげにマウンドを後にした右腕へ、ねぎらいの拍手が鳴りやまなかった。

先発ラストチャンスを与えたBIGBOSS「この次の登板も面白いんじゃないか」

 今季2敗目を喫したが、新庄ビッグボスから課されたチャンスをものにした。先発として最後のチャンスと明言していた指揮官は「秋田のファンのみんなに、いいところをある程度見せられたんじゃないかな。この次の登板も面白いんじゃないか」。今後も先発で起用をする可能性を示唆した。

 球場に駆け付けた家族へ元気な姿を届けた。プロ入り後、秋田に帰省できるのは年末年始のみ。父・正樹さんは「少しずつプロに近づいているのかな」と、息子のプロ意識が年々増しているように感じている。昨オフにはケトジェニックダイエットに挑戦し「体も引き締まっていて、また意識が高くなっていた」と驚かされた。

 気遣いもできるようになった。酒好きの父のため、昨年2月のキャンプ前には泡盛をプレゼントし、同6月には「普段、飲まなそうなワインか日本酒を送りました」。父の日に初めて贈り物をした。帰省した際には父子で酒を酌み交わし、その席で「今年は1軍に残って絶対投げる」と誓いを立てた。男の約束を守り、開幕から1軍で投げ続けている。

プロのすごさを知った原点の地で1万7128人の視線を独占

 吉田にとって、同球場はプロのすごさを知った場所だ。小6のころ、巨人ファンが陣取る左翼芝生席でヤクルト―巨人戦を観戦。「変化球とかに興味を持ち始めた時期で、150キロを投げる人がすごいと思った。格好良かったですね。プロ野球選手」と脳裏に焼き付いている。

 友達の勧めで購入した阪神のタオルを振り回し「周りのジャイアンツファンにめちゃくちゃにらまれました」。あれから10年がたち、スタンドであどけない笑みを浮かべていた少年は、マウンドに立って超満員1万7128人の視線を独占した。「また、来る機会があれば、しっかり試合を1人で投げるくらいのピッチャーになって来たいです」。さらなる成長を遂げて、再び故郷に戻ってくる。

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