帯農が2年連続甲子園へまず1勝! 指導者の事件乗り越える 北北海道大会十勝支部
▽全国高校野球選手権北北海道大会 十勝支部予選(25日、帯広の森)Bブロック1回戦 帯農6-2足寄
夏の甲子園懸けた戦いが開幕
夏の甲子園出場を懸け、全道10支部のトップを切って3支部で予選が開幕した。十勝支部Bブロックの1回戦には昨年北大会王者の帯農が登場。6―2で足寄に勝利し、今夏の道内白星一番乗りを果たした。今月2日に当時の副部長が死体遺棄容疑で逮捕されるという衝撃的な事件を乗り越え、同校初の2年連続の甲子園出場へ、選手たちはしっかりと前を向いている。各支部予選の日程が順調に消化されれば、7月4日に南北大会それぞれ16校の代表が出揃う。
全校応援に背中を押され、帯農ナインが躍動した。一回に先制の中越え2点三塁打を放った清水椋太主将(3年)は「硬さがあって、なかなか追加点が取れなかったんですけど、先発の佐藤大海を中心に守って勝つことができて良かったです」と声を弾ませた。
犠打の猛練習でチーム力も上昇
昨夏、39年ぶりに甲子園に出場したが、昨秋と今春は支部で敗退。夏に向けて、部員42人全員が1球で犠打を決める強化練習に取り組んだ。一人でも失敗したら最初からやり直し。ところがなかなかうまくいかず、最後は3年生は1球、2年生は2球、1年生は3球とハードルを下げて、なんとか1週間で達成した。「技術以上にチーム力が増した」と、野球以外の苦難も背負わされたチームに一体感が生まれた。
今月2日、指導者が逮捕されるという事態に関係者に衝撃が走った。事件が発覚した当日と、保護者説明会が行われた翌日には部活動が休みとなったが、すぐに選手たちは夏の大会に向けて切り替え、グラウンドで白球を追った。
西川雄太郎監督(34)は「(動揺が)ないわけはない。ただ、選手は腐らず、きょうの試合でも一生懸命、全力疾走していたり、本当に純粋に野球をやっているなと。頼もしい子どもたち」と目を細めた。
今季のスローガンは「聖勝」。一昨年の夏、21世紀枠で出場予定だった選抜大会中止の代替試合として行われた甲子園交流試合で1勝したが、選手権大会の記録には残っていない。
清水主将「聖地・甲子園での勝利を目標に」
昨夏の甲子園は、1回戦でノースアジア大明桜(秋田)と対戦して善戦するも、2―4で惜敗。その試合でも二回に適時二塁打を放っていた清水は、「聖地・甲子園での勝利を目標にしている。まずはそこの挑戦権を得るために、北大会を制したい」。周囲の雑音をはねのけ、北の頂点を目指していく。