「年齢も年齢なので…」25歳上川畑が孤軍奮闘の2号ソロ&適時二塁打
■日本ハム2-6西武(29日、ベルーナドーム)
イン攻めもなんのその「感触は完璧。もともとインコースは得意」
わずか3安打に封じ込められた打線の中で、ドラフト9位ルーキーは一人輝いた。「2番・遊撃」で先発した上川畑大悟内野手(25)が2号ソロを含む2長打でチームの全2打点をマーク。試合には敗れたが、孤軍奮闘ぶりが際立った。
重い空気を一瞬切り裂く、希望のアーチだった。5点ビハインドの九回1死。打席に入った上川畑は「最近、結構インコースを攻められる。一発、ここも来るかなと思って、張っていきました」と、宮川が投じた内角の直球を狙い撃ちした。打球は右翼ポールの内側に吸い込まれ、悠々とダイヤモンドを一周。「感触は完璧でした。もともとインコースは得意なので」と胸を張った。
六回2死一塁の第3打席では、本田から右翼フェンス直撃の適時二塁打を放った。「追い込まれていたので、少しでも粘ろうという気持ちで、コンパクトにいったことが良い結果につながった」。1打席、1球ごと冷静に頭を整理し、状況に応じた打撃で存在感を発揮している。
25歳のオールドルーキーに、甘えは一切ない。右膝のけがで開幕1軍は逃したが、5月に昇格後は24試合に出場して打率.306、2本塁打、8打点。「年齢も年齢なので、1年目から結果を求められる。必死に食らいついて、っていう感じですかね」と人生を懸けて勝負している。
卓越守備は後輩の憧れ「社会人野球のレベルの高さを証明できたら」
家族や周りの人の笑顔が、パワーの源だ。26日にプロ1号の本塁打を放った際には、記念のボールを愛妻に手渡した。「うれしがっていました。『おめでとう、うれしかったよ』って。周りからも初出場の初ヒットと同じぐらいお祝いのメッセージをいただいたので、ありがたかったです」と表情を緩めた。
ルーキー離れした遊撃の守備は、すでに後輩たちの憧れになっている。右膝のけがで2軍調整中には、同じポジションの難波から「どうやったら守備がうまくなるんですか、教えてください」とせがまれるなど〝兄貴分〟としての役割もこなしていた。
岡山・倉敷商高から日大、NTT東日本へと進み、プロの門を叩いた。社会人野球出身選手としての誇りが、いつも胸にある。「社会人野球の代表として(プロに)きていると思うので、社会人野球のレベルの高さっていうのを、僕が活躍して証明できたらなっていうのは、常々思いながらプレーしています」と力を込めた。
シーズンは折り返し地点を過ぎた。これから厳しい夏場を迎える。「体力がないので、体も鍛えながら、しっかり休めるところは休んで、自分の体のケアをして、コンディションを整えることに集中してやっていきたい」。21年ドラフトで12球団最下位指名だった男の快進撃は、まだまだ止まらない。