「本当に苦しかった…」上沢が粘りの5勝目 七回途中6四死球も最少失点
■日本ハム2-1オリックス(1日、札幌ドーム)
約1カ月ぶり白星「後ろの投手がしっかり抑えてくれたおかげ」
四苦八苦しながら勝つのも大黒柱の仕事だ。毎回塁をにぎわせる苦しい投球だったが、最少失点で乗り切った。上沢直之投手(28)は約1カ月ぶりとなる5勝目を挙げ、チームを7月の白星発進に導いた。
「本当に苦しかったです」と6回2/3を投げ、今季ワーストの6四死球。それでも持ち前の器用さで光を探した。「何とか打たれる確率が低そうなボールを選択しながら」と六回まで本塁だけは踏ませなかった。
2点リードの七回2死一、二塁。マッカーシーに二塁打を浴び、1点差と迫られたところで降板。その後は堀―北山―石川直の無失点リレーで逃げ切った。「後ろの投手がしっかり抑えてくれたおかげで勝ちが付いている」と感謝を口にした。6月17日のロッテ戦では7回無失点と好投したが、石川直と北山が失点を重ね、逆転負けを喫していた。
「ああいう日もあれば、こうやって抑える日もある。いちいち一喜一憂しないで、勉強だと思って投げていってほしい。抑えたらすごい褒めるし、打たれても何も言わない。あの経験があって良かったなと思う失敗だったら全然良いかな」と意に介さない。
後輩・田中が支配下復帰「本当に一緒に練習して良かった」
チームを背負う立場となり、皆が上沢の背中を見ている。この日の試合前に支配下選手契約を結んだ田中とは今季シーズン前の自主トレを行い、昨年は吉田と行うなど、後輩から合同自主トレへの帯同を申し込まれることが多くなった。春季キャンプは新型コロナの陽性判定を受け、BOSS組(2軍)スタートとなったが、国頭でも新人たちからの〝取材対象〟となった。
もちろん拒むことはなく、快く応じているが、教える難しさも痛感した。「若いうちに大切なことと、今、僕が大切にしていることって違うと思う」と、経験の浅い後輩たちの置かれている状況も考えながら助言を送っている。
自分のアドバイスによって、心身のバランスなどが崩れる危険性もある。「僕の感覚の話もあるし、それを言って、その子に伝わるかどうかもわからない。それがすごく難しいなと思いますし、教えるって、やっぱり責任が伴うので怖いっすね」と正直な気持ちを吐露した。
その分、田中の支配下復帰は喜びも倍増だった。「本当にうれしかったです。真っ先に連絡をくれた。去年と見違える球を投げている。本当に一緒に練習して良かった」と喜んだ。「『これから頑張らないといけないよ』という話はしました。瑛斗(田中)も『いつか一緒にローテーションを組んで投げたい』と言っていたので、すごくうれしいですね」
7日のロッテ戦で先発する田中にとっても、苦しみながら勝ちきる投球は、最高のお手本となったはずだ。かわいい後輩の特別な日に、信頼の置けるエースの姿を示した。