札創成・南口 高校初打席初スイングで決勝打 札第一を撃破
▽全国高校野球選手権南北海道大会 札幌支部Aブロック代表決定戦 札創成12-8札第一(5日、札幌円山)
札幌支部代表決定戦が5試合行われた。Aブロックは、札創成が12―8で春の全道王者・札第一に逆転勝利。五回にこの夏初めてベンチ入りした代打・南口侍斗(じと、3年)が決勝二塁打を放って3年ぶり13度目の南大会進出を決めた。
諦めず、腐らず大好きな野球と向き合ってきた
札創成の代打の切り札・南口が、バット一振りで試合を決めた。2点を追う五回、1死満塁の好機に代打で初出場初打席の機会が巡ってきた。「監督から初球から振っていけと指示があった」と、初球のインコースの真っすぐを迷わずスイング。三塁線を破って走者一掃の逆転二塁打とすると、「うれしかった」と全校応援の待つ三塁側スタンドへ何度も右拳を突き挙げた。
四回までは三塁コーチャー。五回の相手攻撃中に遠田誠治監督(58)から「用意しておけよ」と声が掛かった。ベンチ裏で素振りをしながらその時に集中した。普段はあまり選手を褒めないという指揮官だったが、逆転打を打ってベンチに帰って来ると「ナイスバッティング!」と褒めたたえてくれた。
メンバーに入れない間も、諦めず、腐らず大好きな野球と向き合ってきた。春の大会後、「今までは初球を見逃して追い込まれていたけど、思い切り振っていこう」と決めた。すると夏のメンバーが決まる1週間前から練習試合などで代打起用されることが増え、高校生活でついに初めてのユニホームに袖を通した。
チームでは、最後の夏を前に3年ぶりに同校の伝統である5日間の強化練習が復活。OBら10人以上が手伝い、選手一人一人に約2時間の集中ノックや、毎日1000スイングを課すメニューなどが行われた。技術はもちろん、ハートも鍛え上げ、見事に強豪撃破を成し遂げた。
チームの合言葉は「歴史を塗り替える」
チームの合言葉は「歴史を塗り替える」。札創成の道大会最高成績は、前回出場時(2019年)の8強。南口は「次も出番があったときのために準備していきたい」。頼れるバットマンが、代打の一振りに全てをかける。