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2022/07/08 23:00

【西川薫】甲子園目指す親子鷹 14日から南北大会

懸念される酷暑、これまで以上の暑さ対策が必要

 今年もいよいよ夏の甲子園をかけた南・北北海道大会が開幕します。7日には、全道10支部の予選を勝ち上がってきた南北各16校による組み合わせ抽選会が行われました。北大会(旭川スタルヒン)は14日、南大会(札幌円山)は16日に開幕。決勝戦はそれぞれ24日と26日に行われ、北海道の代表2校が決まります。

 ここ数年の温暖化の影響か、今年の夏はこれまでにない酷暑が心配です。昨年、一昨年と、コロナ禍でさまざまな活動制限を強いられた中、出場にこぎ着けた選手たち。ここ2年で目についたのは、試合中に足をつって苦しむ選手の多さでした。複数の高校指導者に話を聞くと、コロナ禍の部活制限による練習不足が影響したという声も聞かれましたが、それが全てではないと感じています。

 明らかに記者の高校時代から体感温度が上昇しています。記者が球児だった30年前は、練習中に水を飲むのが禁止されていた時代。どうにかして、監督や先輩の目を盗んで水を飲もうと、さまざまな策を練ったものですが、いまはノックの守備位置の後ろに水筒を置くなどして、しっかりと水分補給して練習するのがスタンダードです。

 来年夏の南北大会準決勝と決勝は、北海道日本ハムファイターズが北広島市に建設中の新球場で行われます。個人的には札幌円山・旭川スタルヒン世代なので、ずっと残っていてほしいのですが、日本ハムの移転で比較的押さえやすくなるだろう札幌ドームを使用するなど、選手の健康を考える上では、これまで以上の暑さ対策が求められるのではないでしょうか。

札日大高に旭明成、北見緑陵、クラーク…親子鷹で挑む甲子園への道

 今回の代表32校には、把握できているだけで、いわゆる〝親子鷹〟が4組も出場します。

 南北海道では札日大高の折霜忠紀部長(64)と次男・浩徳外野手(3年)の親子。折霜部長は道日大(現・道栄)で、1975年に選手、81年には監督として甲子園の土を踏んでいます。そして鵡川で2009年にコーチとして選抜甲子園に帯同。鵡川監督時代の2014年から16年には、長男・孝紀外野手(23)と甲子園を目指していた姿は当時の担当として取材させて頂きました。

 北北海道では、旭明成の千葉広規監督(45)と隆広投手兼外野手(2年)、北見緑陵の酒井昭彦監督(55)と長男・大海中堅手(3年)。共に同校初の聖地へ挑みます。

 異色の存在が、クラークの佐々木啓司監督(66)と次男・達也部長(38)。駒大岩見沢では、監督とコーチとして2007年夏から3季連続で甲子園に出場。クラークでは2006年夏と今春の選抜甲子園に出場。全国でも珍しい親子指導者として2季連続6年ぶり3度目の聖地を目指しています。

 親子鷹と一言で言っても、ここまでの道のりは長く難しいものだったでしょう。まずは男の子の『子宝』に恵まれること。そして、野球に興味を持ちケガなく元気に成長すること。高校野球指導者の場合、週末は部活動があって、なかなかわが子の応援などに駆けつけるのは難しいもの。そんななかで技術を磨き、父が指導する高校に入学。選手として背番号を勝ち取ることはそうそう実現できることではありません。

 しかも、監督として自らの息子を起用するのは、他の選手より圧倒的な実力がないと、周囲からはえこひいきと捉えられることも少なくないでしょう。息子は部活では父と呼ばずに、監督・部長と呼び、家に帰ると、どのような会話をしているのでしょうね。出会いやタイミング、全てが揃わないと実現しない、奇跡のような物語です。

 年間130試合以上のリーグ戦で行われるプロ野球とは違い、高校野球は負けたら終了の一発勝負のトーナメント。高校卒業すれば野球から離れる選手がほとんどです。最後の夏に挑む3年生を中心とした激闘の裏側に隠されているさまざまなドラマに注目しながら、南北たった1枚ずつしかない特別な切符をかけた戦いの行方を、しっかりお届けしたいと思います。

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