ビッグボスも思わず「すごっ!」 清宮が価値ある11号ソロで3連勝貢献
■日本ハム7-2ソフトバンク(9日、ペイペイドーム)
〝当てにいくスイング〟から一変「自分らしくいきたいですね」
価値ある11本目のソロアーチだ。3-2と1点リードの七回2死、清宮幸太郎内野手(23)が、低い弾道で右中間スタンドに叩き込んだ。貴重な追加点を奪ってチームの3連勝に貢献し「角度は低かったですけど、感触が良かったので、入ったかなと思いました。2死で走者もいない場面だったので、しっかり自分のスイングをしようと心掛けていました」と充実感をにじませた。
相手3番手の武田にカウント2ー2と追い込まれながら、内角低めに来た直球を豪快にフルスイングした。7日のロッテ戦前にビッグボスから「追い込まれても初球の心構えで、空振りしても堂々と帰ってきなさい。当てにいくスイングは魅力ないよ」と忠告を受けていた。同戦では〝当てにいくスイング〟を修正できなかったが、この日は一変。「きょうはしっかり追い込まれてから打てたので、そこは良かった。自分に求められているのはそういうところなんだと再確認できたので、自分らしくいきたいですね」とうれしそうに表情を緩めた。
新庄監督大絶賛「今まで見た日本人のホームランで一番じゃないかな」
ダイヤモンドを回り終えた清宮を、ビッグボスは拍手で出迎え、背中を叩いて祝福した。試合後には「きょうの清宮君のあのホームラン。『すごっ!』って言ったもん。追い込まれてからあの弾道で、あの方向。バックスクリーン右に。いやあびっくりしたね、あれは。今まで見た日本人のバッターのホームランで、一番じゃないかな。すごかった。びっくり」と大絶賛。「追い込まれても、きょうのあのスイングは正解。あれが四球でも三振でもOK」と、結果以上に内容を高く評価した。
チームトップに立つ11本塁打をマークしたが、その全てがソロ。「きょうもソロですもんね、すごいですね。(チームメートから)めちゃくちゃ言われます」と苦笑いを浮かべたが、「あんまり気負わず、考え過ぎないで普通にいきたいです」と意識しすぎず、チームを勝たせる一打を追い求めていく。
理想の存在・柳田に敬意「レベルが違う。まだまだ追いつけない」
理想の存在が、相手チームにいる。自主トレをともにし、多くの助言をもらった柳田だ。本塁打数では1本リードを奪ったが「まだまだ僕とはレベルが違う。(本塁打数は)結果としてそうなっていますけど、きょうも初回にいいところでタイムリー打ったりしていますし、チームへの貢献度はもうまるで違う。まだまだ追いつけない」と敬意を示した。
1軍出場なしに終わった昨季、清宮は鎌ケ谷で早朝打撃練習を続けてきた。敵地・所沢で西武戦が行われる際、バスの出発が午前7時10分と早朝だった日も、同5時起きで室内練習場に姿を見せ、黙々とバットを振っていたという。2軍でも結果が出ない時期があったが、必死の取り組みを見守っていた当時の原田2軍監督(現アマスカウト)は「清宮は復活する。間違いない」と太鼓判を押していた。
今季がプロ5年目。けがや病気にも悩まされ、苦しみながら成長を続けてきた。打てなくても前向きに野球と向き合い続けてきた日々が今、ようやく報われ始めようとしている。