苦境こそチャンス―それがビッグボスの信条「めちゃくちゃ面白かった」最速50敗でも前向く指揮官
■日本ハム3-4西武(17日、札幌ドーム)
日本ハムは17日、札幌ドームで西武と対戦し、3―4で逆転負け。連勝が「7」で止まり、両リーグ最速で50敗目を喫した。一回に2本のタイムリーで先制も、先発した伊藤大海投手(24)が六回に突然乱れて5回4失点。打線は2点を追うラスト九回に上川畑大悟内野手(25)の適時打で1点差とし、なおも2死満塁と攻め立てたが、及ばなかった。また、16日の試合で負傷した上沢直之投手(28)が右足の中指を骨折していたことが判明した。
九回2死から猛追及ばずも「粘りがすごい出てきている」
厳しすぎる現実に直面しても、新庄監督のスタンスは全くブレなかった。2点を追う九回に西武抑えの平良を攻め、1点を返して2死満塁の好機をつくった。4番の野村は158キロを果敢にはね返した。打球はライナー性の右飛。球場のボルテージは最高潮に達し、拍手とため息が交錯した。
球団の新人監督として最多の8連勝が懸かっていたが、関心はなかった。求めているのは、過程と内容だ。12球団最速の50敗目を喫しても悲壮感はない。「めちゃくちゃ面白かったですね。負けてしまったけど、最後の盛り上がりは勝ったような感じ。やっぱり粘りがね、すごい出てきてるので、それがめちゃくちゃうれしい」と熱は冷めなかった。
この日はチームトップ7勝を挙げていた伊藤が先発。五回までしぶとく無失点で切り抜けたが、六回に制球を乱した。2本の安打と四球で無死満塁となり、押し出し四球で失点。94球で無念の降板となり「連勝中でチームが良い流れできている中、先制点をもらったにもかかわらず、ランナーを背負った状況で降板する形になり、悔しい気持ちです」と奥歯をかんだ。
上沢が骨折…加藤、玉井らがコロナ特例で抹消「パワーアップできるチャンス」
試合前には、チームに激震が走った。16日の試合で右足に打球を受けた上沢が札幌市内の病院で検査を受け、右第3趾基節骨骨折と診断された。ゲーム復帰まで8週間。9月中旬まで、戦列に戻れない見込みだ。
また、16日に新型コロナウイルス陽性判定を受けた加藤が、同じく陽性となった杉谷、陽性者と接触した玉井とともに「感染拡大防止特例2022」を適用して登録抹消となった。先発ローテーションの組み替えは避けられない。
7月に入って9勝4敗と波に乗ってきただけに、主力の離脱は痛い。しかし、指揮官は「スポーツをやっていたら、いろんなアクシデントがあるし、こういう年もある。パワーアップできるチャンス、時期だと思って、ゆっくり休んでもらって」とねぎらった。
どんな時も、ポジティブを貫く。「逆にね、若い選手はそれ(チャンス)をつかみに来たらいいし、逆に開幕戦でやったように中継ぎ8人、7人で1試合を戦ってもいいし。それも面白いかな」。すでに、若手の抜てきやブルペンデーの活用も検討中。苦しい時こそ、発想豊かなビッグボスは手腕を発揮する。