スカウト大絶賛! 知内・坂本が1失点完投&逆転V弾
▽全国高校野球選手権南北海道大会準々決勝 知内2ー1札日大高(20日、札幌円山)
25年ぶり4強入り
南大会準々決勝3試合が行われ、4強が出揃った。4大会連続19度目の知内は、2―1で札日大高を下し25年ぶりの準決勝進出を果たした。奥尻島出身のプロ注目左腕・坂本拓己投手(3年)が、140キロ後半の直球を武器に13奪三振1失点完投。先制された直後の七回裏に、自らが逆転の決勝2ランを放ち試合を決めた。
奥尻島出身の左腕エース
離島から来た左腕エース・坂本が、最終打者の打球の行方を確認すると、頭上で両手を何度も叩き、ガッツポーズ。「勝ててホッとしています。ストレートの指の掛かりは良かった」と、2試合連続の完投勝利に声を弾ませた。
春の全道敗退後から取り組んできたチェンジアップを実戦で初めて解禁した。一回、2四球などで1死二、三塁のピンチを迎えたが、右打者の外へ逃げながら沈む軌道の球で連続空振り三振。この日最速の145キロの直球で左右を突き、変化球との抜群のコンビネーションで三振の山を築き上げた。
「やり返したな」先制された直後に高校初アーチ
取られた点は、自らのバットで取り返した。ソロアーチを浴びた直後の七回2死一塁。外角への直球を振り抜くと、逆方向の左中間へ失速することなく、そのままフェンスを越えた。自身高校初アーチが、値千金の逆転弾。「やり返したな」。試合の主導権を力尽くで奪い返した。
奥尻島出身。「寮生活をしていく中で、自立して社会に出た時に困らないように。人として成長できるように」との思いで、知内へ進学。この日スタンドに応援に来ていた家族に成長した姿を披露した。
1992年秋の全道で準優勝し、翌春の選抜甲子園に出場も、まだ道内で頂点に立ったことはない。準決勝の相手は春に敗れた東海大札幌高。「やるべき事を変えずに、丁寧に、チームのために頑張りたい」。相手のエースも、前評判の高い門別啓人(3年)。プロ注目の左腕同士の直接対決を制し、悲願の初優勝、初めての夏の聖地に王手をかける。
■ヤクルト・伊東昭光編成部長(59) の話
「ちょっとびっくりした。二回から別人。ピンチでもチェンジアップやスライダーで空振りが取れ、直球も角度がある。非常にいいものを見せていただいた。リストには最後まで残っています」