ファイターズ
《鶴岡慎也のツルのひと声》目の前の一球に集中―今川と清宮に見えた成長の証し
■日本ハム6-7ロッテ(23日、札幌ドーム)
チーム状況は苦しい。新型コロナ陽性者が続出し、監督すら不在。ファームから多くの選手が上がってきてもいる。通常の雰囲気を保つのは容易ではない。ただ、プロ。どんな苦境にあってもファンの前では目の前の一球に集中しなければならない。
手痛い逆転負けではあるが、今川は成長の証しを見せてくれた。一回の先制打。カウント1―2と追い込まれ、反対方向への意識が奏功した。最後の打者になったものの、九回の打撃も同様だ。
これまでは引っ張り続けて凡打したり、簡単に空振りを喫する場面もあった。1軍の投手を打つにはどうすべきか―。この日のバッティングはプロで活躍する右打者の内容そのものだった。
清宮も確実に力をつけている。一回に左の本前から中堅フェンス直撃の二塁打。追い込まれながらもコンパクトなスイングで、技術の高さとパワーを披露した。今後の自信になるはずだ。
一方、遊撃に入った上野が四回2死一、二塁で痛い失策を記録。直後にチームは3失点した。守備のミスは敗戦につながる。胸に刻んで今後の成長に生かしてほしい。
今が耐え時。一人一人が個人成績を求めてもいい。それが結果としてチームの勝利に結びつく。そういう意識で現況を乗り越えてもらいたい。(本紙評論家)