知内 初V王手! エース・坂本がプロ注目左腕対決制した
▽全国高校野球選手権南北海道大会準決勝 知内2-1東海大札幌高(25日、札幌円山)
準決勝2試合が行われ、プロ注目の4投手が激突した。知内は2―1で東海大札幌高との接戦を制し、初の決勝進出。1点リードの五回1死二塁で、スタメンただ1人の地元・知内中出身、9番・渡辺流叶二塁手(3年)が右前適時打で貴重な追加点を挙げ、1回戦から3戦連続完投した左腕エースの坂本拓己投手(3年)を援護した。
相手エース・門別から空三振 春全道と練習試合の雪辱晴らした
創部41年、知内がついに初の夏の甲子園へ王手をかけた。就任7年目の吉川英昭監督(46)は「本当に次だなと。今まで負けていった3年生の顔も浮かびましたし、生徒を信じて良かった。決勝では甲子園を一切意識せずに、僕らのやってきた姿をみてもらいたい」と、これまで通りプレー中にも笑顔を絶やさない普段着野球で挑む。
坂本が、プロ注目の左腕対決を制した。1点リードの九回2死、打席には相手左腕エースの門別啓人投手(3年)。1―2からの6球目、スライダーで空振り三振を奪うと、左手で大きくガッツポーズした。「1打席目に、スライダーで三振に打ち取って、そう簡単に手は出ないのが分かっていた」。春季全道2回戦と、その2週間後の練習試合で敗れたリベンジを果たした。
唯一の地元出身・渡辺が決勝打「打てる、打てるって言い聞かせた」
地元出身の渡辺が、大仕事をやってのけた。1―0の五回1死二塁。「初球のまっすぐに張っていて、打ってやろうと思っていた」と迷いなく振り抜き、値千金の右前適時打に。春の対戦でも門別から適時打を放っており、「打てる、打てるって言い聞かした」と己を信じた結果だった。
渡辺の母・裕子さん(39)も、同校の元マネジャーと〝縁〟は深い。野球部は定期的に地元の小学生に野球を指導。母の影響で〝息子〟もすぐに溶け込めた。その時を知る吉川監督も「少年野球教室をやった時に、『いつかやろうぜ』ってボールを渡した。実現してうれしかったですね」と頬を緩めた。
渡辺が1年秋に全道4強入り。21世紀枠候補に選出されたが落選した。その時の主力だった川村亮太前主将(北海学園大1年)から「誰かのためにやるヤツは強い」という言葉を受け継いだ。「先輩を越えて絶対に甲子園に行く。部員66人全員で勝ちに行きたい」。4000人の町民の期待を背負い、3季通じて初の頂点に立ってみせる。