高校野球
2022/07/26 23:30

札大谷が夏初甲子園 4戦連続2桁安打&エース森谷完投!

試合終了後、喜びを爆発させる森谷(左)ら札大谷ナイン

▽全国高校野球選手権南北海道大会決勝 札大谷7-2知内(26日、札幌円山)

 南大会決勝は46年ぶりに初進出した高校同士の対戦となり、創部14年目の札大谷が7―2で知内を下して初優勝した。先発の最速148キロ左腕・森谷大誠投手(3年)は六回に打球を左手に当てるアクシデントはあったが、南大会4試合連続2桁安打の強力打線の援護を受け、9回2失点で今大会初完投。2018年秋に明治神宮大会で初出場初優勝を果たし、19年の選抜甲子園でも初出場で1勝を挙げた札大谷が、夏の甲子園も〝初陣旋風〟を巻き起こす。

 札大谷が初の決勝戦でも持ち前の破壊力ある打線で知内を圧倒。初の頂点に立った。知内の最速147キロ左腕・坂本拓己投手(3年)を10安打5得点で7回KO。胴上げで3度宙を舞った就任8年目の船尾隆広監督(51)は、「新チーム発足当初から思っていた攻撃ができた。一つ、理想に近づいてきたことがすごくうれしくて」と目頭を熱くした。

左手打球直撃から開き直り好投

 エース森谷が苦しみながらも踏ん張った。序盤から制球が定まらず、3点リードの四回には知内打線につかまった。先頭から2四球などで2死一、二塁とすると、坂本の適時打で1点を返された。「自分でもどうしていいか分からなくなった」とベンチで珍しく弱気発言。船尾監督は「私と五十嵐部長でとにかく励まして」とエースをもり立て、ようやくマウンドへ送り出した。

 六回にソロ本塁打を浴びると、1死を奪った直後に打球を左手親指の付け根付近に受けた。一度ベンチに下がったが、「当たってすぐはしびれとかあったけど、すぐに治った。これでうまく力が抜けて開き直れた」と森谷。持ち味の直球が息を吹き返し、以降は1点も与えない投球。ゲームセットの瞬間はマウンドで左手人さし指を突き上げた。

「見返してやろう」攻撃重視のチームで投球磨き続けた

 昨秋の新チーム始動時、攻撃重視のチーム方針が示された。これに森谷が「見返してやろう」と発奮。昨年12月、元メジャーリーガーのイチローさんも現役時代に取り組んでいた初動負荷トレーニングの合宿に参加した。一冬越えて、太もも周りが66センチにボリュームアップ。夏の支部予選で自己最速の148キロをマークするまでに成長した。「ずっと自分のせいで負けてきた。きょうも良くなかったけど、勝てて良かった」。ようやくエースとしての役割を果たし、安堵した。

 2009年4月の共学化と同時に野球部は1年生26人でスタート。3年目から中等部の札幌大谷リトルシニア組が入学。今では他の中学からの入学者も増え、今季は最多の99人までふくれあがった。

 試合後、人一倍泣きじゃくっていたのが、中等部でも主将を務めた浜野櫂主将(3年)だ。昨年も2年生ながら副主将。チームの絶対的な精神的支柱となっている。初めて挑む甲子園へ、「楽しむことが一番。ここまで打ってきたんで、甲子園でも打力でつなげていければ」。全国の好投手にも臆することなく、新たな歴史をつくる。

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい