「五輪の失敗は五輪でしか消化できない」 高梨沙羅が再び世界の空へ
自らの冠大会に5年ぶり出席「元気をもらえた」
ノルディックスキー・ジャンプ女子の平昌冬季五輪銅メダリスト・高梨沙羅(25、クラレ)が28日、士別市で取材に応じ、4年後のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪を見据えた。この日は士別・朝日三望台シャンツェで行われたジュニアサマージャンプ「高梨沙羅カップ」にプレゼンターとして出席。北京五輪後初となる公の場で、あらためて現役続行を明言した。今後は山形で合宿を行い、8月20日の山形蔵王大会で今季国内初戦に挑む。
「4年後に向けて日本チームに貢献できたら」
2月の北京五輪混合団体でスーツの規定違反により失格となってから約半年。高梨が生まれ故郷の北海道で再出発への決意を新たにした。
「五輪の失敗は五輪でしか消化できない。4年後に向けて日本チームに貢献できたら。試行錯誤しながら挑戦し続けていきたい」と、次の五輪でのリベンジに意欲があることを明かした。
2017年以来、5年ぶりに自らの冠大会へ出席した。「小さい頃、私も同じだった。ジャンプが好きじゃないと飛べない。元気をもらえた」。原点となった思いも再確認。大会後は、参加選手と一緒に写真に写り、満面の笑みを浮かべた。
北京五輪直後、自身のインスタグラムで一面真っ黒な画面で進退について示唆するようなコメントを書き込み、さまざまな臆測を呼んだ。しばらく公の場には姿を現さず、「すごく苦しい時間だった」と、今後の競技人生について葛藤した。
それでもゴールデンウイーク中には国内で合宿をスタートさせ、自らの気持ちがどこにあるのか確かめるようにジャンプ台に向かった。そこで「まだ締めくくるには早い。終わっちゃいけない」と答えを絞り出し、6月17日のインスタグラムで現役続行を表明した。
今季最大の目標は来年2月の世界選手権。高梨が毎年合宿を行うスロベニアでの開催だ。技術的なことについては「模索中。徐々に上げていきたい」と、一からスタートさせていくつもりだ。数々の栄光をつかんできた25歳が、再び背中に翼を宿し、世界へと飛び出していく。