古川裕大がマー君からプロ初安打 〝万策尽きたと言うな〟松下幸之助の格言生きた
■日本ハム0-7楽天(30日、楽天生命パーク)
通算9打席目での快音「やっと出たという思い」
偉大な投手から、メモリアルな一打を放った。大卒2年目の古川裕大捕手(24)が七回の第3打席で楽天の田中将から右前へプロ初安打をマーク。通算9打席目で待望の快音を響かせ「打った瞬間、抜けたなと思った。一本出したかったので、やっと出たという思い。大リーグでも活躍された本当に素晴らしい投手から打てて良かった」と心を躍らせた。
読書家の古川裕には、大切にしている言葉がある。「百遍倒れたら百遍立ち上がれ。万策尽きたと言うな。策は必ずある」。日本を代表する伝説的な経営者・松下幸之助の格言だ。直筆で紙に書き写し、部屋の壁に貼って胸に刻んでいる。
球界を代表する好投手・田中将との対戦が決まるとすぐ、策を練った。「映像を見て、まずは真っすぐから打ちにいこう」。しかし、1打席目は中飛、2打席目は空振り三振に倒れた。
「調子自体は悪くなかった」スライダー狙い食らいついた
それでも、万策尽きたとは思わない。七回2死で迎えた3打席目は「調子自体は悪くなかったので、あまり気負うことなく打席に立った」とリラックスして臨んだ。カウント0―2と2球で追い込まれたが「ある程度、変化球というのは頭に入れて待ってました」とスライダーにしぶとく食らいつき、一、二塁間を破った。
2軍で、もがく日々も長かった。心が折れそうになった時、担当の高橋スカウトの言葉に救われた。「最近、連絡があった。『辛抱強くやっていけよ』『負けんなよ』と言われて、すごく支えになりました」。夢の舞台へと導いてくれた恩人へ、感謝の思いを口にした。
プロ初安打は通過点だ。23日にはフレッシュ球宴に出場するなど多くの経験を積み、飛躍の準備は整っている。「素晴らしい投手から打てたのは自信にもなりますし、これからどんどん安打を積み重ねていきたい」。何度倒れても立ち上がり、正捕手の座を射止めてみせる。