道産子・佐藤が移籍後1号「きょうは眠れなさそう」
■日本ハム6-5ソフトバンク(2日、旭川)
打球がスタンドに吸い込まれると、旭川の夜空に右拳を高々と突き上げた。
同点で迎えた三回、「9番・三塁」で先発した佐藤龍世内野手(25)が先頭で打席に向かった。1ボールからの2球目、ソフトバンクの先発・石川の直球を振り抜くと、歓声に包まれた打球はそのままバックスクリーン右に着弾した。
今季1号ソロは、日本ハム移籍後初の本塁打。西武に所属していたプロ1年目の2019年以来のアーチに「きょうは眠れなさそうですね、マジで」と、興奮冷めやらぬ様子だった。貴重な勝ち越し弾が決勝点となり、今季唯一の旭川開催を白星で飾った。
「もっと楽に」新庄監督のアドバイスに結果で応えた
新庄監督が復帰した仙台で「ちょっと力み過ぎてて、いつものミート力が、アジャストできてない。もうちょっと楽に。フルスイングも良いけど、しっかりアジャストしていこう」と声を掛けられた。旭川の地で見事な答えを示した。
開幕1軍を勝ち取ったが、12打数0安打と結果を残せず、4月4日に2軍降格となった。調子がいい時も声が掛からず、「めちゃくちゃしんどいっす」と本音もこぼしていた。慕っている先輩の西武・森にも相談。「(内容は)企業秘密です」と詳細は伏せたが、叱咤激励を受けた。
4月に降格した2軍生活で練習漬け
「見とけよ」と闘志を秘めながら、一心不乱に練習に取り組んだ。2軍戦に出場しない日は、鎌ケ谷の屋内練習場で黙々とマシン相手に白球を打ち返した。「2軍で2カ月、3カ月くらいしっかりやっていたのを全然出せてなかった。やっと吹っ切れたなって感じです」と安堵の表情を浮かべた。
道産子球児で高校は北海。南北海道大会や全道大会は札幌円山で行っていたこともあり、「僕、初めてなんです」と、スタルヒン球場とは無縁だった。初の試合で強烈な印象を植え付けた。「もう来年もぜひ、スタルヒン(での試合)のときは佐藤を呼んで下さい」とアピールした。
コロナ禍により巡ってきたチャンスを逃すわけにはいかない。「我慢して使ってもらって、チャンスをもらってる方だと思うので恥じないような結果をこれからも出していきたい」と意気込んだ。今季の道内地方ゲーム初戦、厚岸生まれの男が一番輝いた。