3年目・片岡が待望プロ初安打「うれしかった」 幻の初安打2日後にリベンジ
■日本ハム5-3オリックス(7日、京セラドーム)
5日の試合でヒット覆りアウトに
北海道を愛する道産子が、遠く大阪の地で待望のプロ初安打を記録した。「7番・右翼」で先発した片岡奨人外野手(24)が二回無死一塁の第1打席で右前打をマーク。大卒3年目、通算14打席目で初めて快音を響かせ「一本出てくれたので、うれしかったです」と喜びをかみ締めた。
伏線があった。5日のオリックス戦。九回に二塁へのゴロで快足を飛ばし、一度は「H」のランプが点灯。しかし、敵将のリクエストの末、判定はアウトに覆った。幻のプロ初安打から2日後、今度は一、二塁間を鋭く破る文句なしの一打でリベンジ成功。ビッグボスがすぐさま記念球を回収すると、片岡は一塁上で拳をグッと握りしめた。
2軍でお世話になったコーチ陣に感謝
第3打席でも中前打を放ち、4打数2安打で勝利に貢献した。「2軍で渡辺打撃コーチがつきっきりで、ずっとフォームを見てくれた。矢野打撃コーチは心の部分で、『フワフワして迷いがあると、おまえは本当にダメだから』って言ってもらった。振るボール、振らないボールをちゃんと決めて打席に入った結果がヒットになったので、コーチのおかげです」。2軍でお世話になった首脳陣に感謝した。
今季は5月5日に初昇格を果たすも、3試合で5打数無安打4三振に終わり、同11日に登録抹消。最後の打席は見逃し三振に倒れ、ビッグボスは名指しこそしなかったが「1軍に残りたいという姿勢が全く見えない。バットを出さない限り一生結果は出ない」と厳しく苦言を呈した。
大卒3年目で、余裕はない。「諦めようと思ったら諦められた」と当時の心境を振り返る。それでも、「諦めようとは思わなかった」。コーチ陣の支えもあって気持ちを奮い立たせてきた。大渕GM補佐兼スカウト部長からも連絡をもらい「ここからだよ。どうなるも、おまえはここからだよ」と励まされた。「確かにそうだよな」と前向きに次のチャンスを狙い続け、ようやくこの日、結果をつかんだ。
北海道各地にゆかり 地元ファンへ「応援してもらえる選手になる」
地元のファンへ、熱い思いを持っている。八雲町で生まれ、生後まもなく厚岸町に引っ越し、幼稚園の年少頃まで過ごした。その後は小学4年まで日高町、小5から中2まで深川市、中3からは札幌市と移り住み、道内各地にゆかりがある。「北海道の人たちに名前を覚えてもらって、応援してもらえる選手になる」と心に誓っている。
日本ハムとの縁も深い。小学6年時にファイターズジュニアのセレクションを受験し、3次試験で落選。「今川さんは1次で落ちたみたいで、2人でよく話します」と懐かしんだ。
Fジュニア落選も10年後ドラフト指名「すごい縁」
当時、ファイターズジュニアの監督は、現アマチュア担当スカウトの白井康勝氏。「セレクションで白井さんがバッティング投手をしてくれて、打たせてもらった。プロの投手ってすごいなって思った」。今では良い思い出だが、白井監督からメンバーに選ばれることはなかった。そこから10年後、滝川シニア、札日大高、東日本国際大と進み、成長を続けた片岡は、日本ハムにドラフト7位で指名を受けた。担当は白井スカウト。「すごい縁ですよね。本当にありがたいことです」と柔らかい笑顔を見せた。
外野手争いは熾烈(しれつ)だが、負ける気はない。「一日一日の積み重ねだと思いますし、毎打席毎打席、一球一球を大事にして、練習の準備もしっかりしていきたい」。次は札幌ドーム初安打で、地元のファンを盛り上げてみせる。