高校野球
2022/08/09 23:19

札大谷 夏初出場1勝にあと一歩及ばず 九回2死から同点も悔しいサヨナラ負け

熱戦の末、サヨナラ負けした札大谷。スコアボードが、ドラマチックな試合展開を物語っていた(撮影・桜田史宏)

■全国高校野球選手権大会 第4日(9日、甲子園)

▽1回戦 札大谷2-3二松学舎大付

 南北海道代表の初出場・札大谷は、2―3で二松学舎大付(東東京)に九回サヨナラ負け。1点ビハインドの九回2死から一度は同点に追いつく粘りを見せたが、その裏に先発のエース左腕・森谷大誠投手(3年)が、1死一、二塁から三塁線を破られ決勝点を献上した。打線は南大会同様、1番・飯田星哉三塁手(3年)が2安打を放つなど、南大会から続く2桁安打を聖地でも記録。最後まで持ち味を発揮したが、夏の甲子園初勝利は持ち越しとなった。

2安打で好機拡大の飯田「最高の3年間でした」

 同点に追い付いた直後の九回に、思いも寄らない結末が待っていた。1死一、二塁。三塁線への痛烈な打球は、飯田三塁手の横を抜け左翼線へ。左翼の天野凰介(3年)が打球に追い付いたが体勢を崩し、その間に無情にもサヨナラの走者が生還。選手たちはその場に崩れ落ちた。

 飯田は、三塁側アルプススタンドにあいさつすると、あふれる涙をこらえきれず、仲間に抱きかかえられながら整列に加わった。「コロナで練習できないとか、キツい時期がありましたけど、最高の3年間でした」と、チームメートに感謝した。

エース森谷は気迫の3失点完投「中盤から変化球中心に」

 先発の森谷は、ボールが先行する苦しい投球が続いたが、3失点完投と粘投した。一回、先頭にいきなり二塁打を許し先制され、三回に追加点を奪われた。「序盤は直球で押していこうと話したが、中盤から変化球中心に。それで抑えられた」。四回以降は投球の組み立てを変更。五回には、この試合初めて3者凡退に打ち取るなど、八回まで無失点と持ち直した。

 「野球は九回2アウトから」。札大谷は〝格言通り〟のプレーで底力を発揮した。2死無走者。代打・森寛斗(3年)が右前へはじき返す。この夏、公式戦初安打となる男の一打でベンチは一気に盛り上がった。続く飯田が、変化球をうまく右前へ放ち好機を広げ、直後に暴投で同点に追い付いた。「八回、九回に1点を取って追いつけてよかった」。敗れはしたが、安打数では強打の二松学舎大付を上回り、新チーム発足から目指してきた打撃を大舞台でも見せつけた。

「遅かった…」先頭出塁は2度のみ「最後の1本がでなかった」

 ただ、9イニング中、2死からの出塁が4度。船尾隆広監督(51)は「よく言えば、粘り強く攻撃してくれた。いかんせん2アウトからの攻撃が多かった。余裕を持って攻撃できなかった」と振り返る。飯田も「遅かった…」。先頭打者の出塁は五回と六回の2度のみ。七回までに4度、得点圏に走者を進めながらも得点に結びつけることが出来ず、浜野櫂主将(3年)は「最後の1本がでなかった」と悔やんだ。

 創部14年目。夏の甲子園初勝利は逃したが、昨秋と今春の支部予選敗退という屈辱から見事に甲子園まで勝ち上がり、堂々とした姿を見せつけた。ベンチには下級生が5人、スタメンには3人が名を連ねた。浜野主将は「後輩たちがやってくれる。またここに戻ってきてほしい」。あと一歩で成し遂げられなかった夢を託した。

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい