高校野球
2022/08/10 23:45

旭大高が王者苦しめた! 大阪桐蔭を六回表までリードの大健闘

試合後、応援席に挨拶をし引き上げる旭大高ナイン

■全国高校野球選手権大会 第5日(10日、甲子園)

▽1回戦 旭大高3-6大阪桐蔭

現校名最後の夏

 王者を最後まで苦しめた。3年ぶり10度目出場の北北海道代表・旭大高は、3―6で春夏連覇を狙う大阪桐蔭に逆転負けを喫し、29年ぶりの勝利ならず。それでも3番・藤田大輝三塁手(3年)が甲子園初アーチとなる右越え2ランを放つなど六回表までリードした。七回に勝ち越され、3点差を追う九回には一発出れば逆転という2死満塁の好機をつくり出すなど大健闘。現校名として最後の夏を精一杯、戦い抜いた。

 最後まで見応えのある戦いを繰り広げた旭大高に甲子園のスタンドからは惜しみない拍手が降り注いだ。現校名最後の年に29年ぶりの校歌は歌えなかったが、ナインたちは最後まで王者を苦しめた激闘に胸を張った。

一回から揺さぶって先制点

 打線は序盤から仕掛けて揺さぶり〝らしさ〟を発揮した。一回、先頭の近藤伶音右翼手(3年)が三塁線に絶妙のバントヒット。犠打で1死二塁とし、藤田も左前打で続いた。さらに一、三塁からディレードスチール。その後の四球で1死満塁とすると、主砲の5番・山保亮太左翼手(3年)が中犠飛で欲しかった先制点をもぎ取った。

三回、藤田の2ランでリードは3点に

 小技で見せると、今度は藤田の豪快な一発だ。三回無死一塁、カウント0―1からの真ん中高めの直球をフルスイング。「甲子園に入った瞬間は観客席が広いなと思ったけど、打った瞬間は『近いな』と。完璧でした。最高です」と右拳を握りしめ、ダイヤモンドを一周。大阪大会7試合で、わずか1失点の強豪から3点のリードを奪った。

 七回に勝ち越されたが、3点ビハインドの九回には執念のプレーでこの日4安打目を記録した。広川稜太主将(3年)の左前打などで2死一、二塁。藤田の打球は一塁手の前へボテボテのゴロと際どかったが、気迫のヘッドスライディングで内野安打の判定。2死満塁として希望をつないだ。

九回2死満塁の一発逆転機つくるも及ばず

 一発出れば逆転の場面で4番・鶴羽礼一塁手(3年)。カウント3―1まで粘ったが、三ゴロで最後の夏は終了した。敗れはしたものの、藤田は「日本一のチームにチャレンジ精神で戦う事ができて、今までで一番いい結果が出た」とすがすがしかった。

中学から6年間の集大成に広川主将「最高の舞台でプレーできた」

 ベンチ入り18人中、広川主将や藤田を含め8人が中学硬式野球の旭川大雪ボーイズに所属した。そこから培った6年間の集大成だ。3年前の夏、全国大会の帰りに当時甲子園に出場していた旭大高の練習を現地で見学した。広川主将が旭大高への進学を決意すると、藤田も「2年連続で甲子園に出ている。自分も」と、ともに地元の強豪の門をくぐった。

 中学時代も主力メンバーだった広川。「ずっと一緒に野球をしてきて、その仲間とこの最高の舞台でプレーできた。とても、うれしい気持ちと、今までやってきて良かったという気持ち」と仲間に感謝した。続けて「旭大高の名前は変わるけど伝統は変わらない。伝統は受け継いでいってほしい」。最後まで諦めず戦い抜いた現校名最後の主将は、後輩たちへ思いを託した。

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい