新庄監督 勘ピューター冴え劇的勝利! サヨナラ機に「代打?ないない。打つ感じ見えました」
■日本ハム3ー2西武(11日、札幌ドーム)
劇的勝利で首位叩き! 日本ハムは11日、札幌ドームで西武と対戦し、延長十回の末に3―2で今季5度目のサヨナラ勝ち。2カードぶりの勝ち越しを決めた。新庄剛志監督(50)が大抜てきしたプロ初先発の鈴木健矢投手(24)が6回1/3を2失点と好投。打っては5試合ぶりに先発マスクをかぶった清水優心捕手(26)がヒーローとなった。2―2で迎えた十回2死一、二塁で、しぶとく三遊間を破り、試合を終わらせた。
鈴木を先発で起用「のらりくらり投げなさい」
独自の感性で導き出したアイデアが劇勝を呼んだ。負傷やコロナの影響を受け、主力を欠いているが、新庄監督がデータでは説明できない選択、決断で活路を開いた。アマ時代もリリーフがメインの鈴木をローテーションの谷間でプロ初先発に抜てき。七回途中2失点に抑えた右腕を「次も、きょうくらいのピッチングをしてくれたら、来年の開幕投手、あるんじゃないですか」と大絶賛した。
前夜は延長十二回で9人の投手をつぎ込んだ。プロで長いイニングを投げた経験がなくても、早期降板は許されない状況に追い込まれていた。登板前は「のらりくらり投げなさい。10失点はOKだから」と助言を送り、緊張を解きほぐしていた。
一回に連打で1点を失ったが、持ち直した。緩い球を効果的に使い、西武打線に決定打を許さない。フライを打たせ、再三のピンチを切り抜けた。気づけば、105球の熱投。中継ぎ陣を救う、うれしい誤算だった。
今カードは、近藤のバースデーサヨナラ弾に始まり、10日は延長十二回引き分けの激闘を演じていたが、3戦目ももつれた。再び延長に入り、ドラマチックなフィナーレが待っていた。
勝負所、打率1割台の清水をそのまま打席へ
同点の十回。1死から野村が右中間フェンス直撃の二塁打で出塁。三振、申告敬遠を挟んで2死一、二塁となった。打席にはこの日3打数無安打で、打率.121の清水。ベンチにはアルカンタラと捕手の郡、梅林が控えていた。
指揮官は動かなかった。「代打? ないないない。(打撃の状態は)悪くなかったしね。去年まで、よく代打とか出されていたみたいですけど、全くなかった」。確信めいた予感は当たる。松本のカットボールを引っ張った打球は三遊間を破り、二走の中島が生還。お祭り騒ぎとなった。
ベンチ前でガッツポーズを見せた新庄監督は「清水君も前半戦はボス組(2軍)で苦労して。きょうは寝られないんじゃないですかね、うれしくて。最近、練習でも右中間にいい打球が行ってたし、あ、打つなという感じは見えました」と、してやったりだった。
訪れた3万3754人のファンに魅力満載のゲームを届けた。3戦連続で首位の西武と渡り合い、2勝1分け。この強さは、本物かもしれない。