社会人野球・航空自衛隊千歳が福井新体制で急浮上へ「ダークホースとしてかき乱したい」
■20日開幕JABA道大会で初陣
社会人野球の航空自衛隊千歳は、8月1日付で福井一気マネジャー(28)が新監督に就任した。7月には駒大苫小牧高出身で日本ハム・伊藤大海(24)の2学年後輩である安田匠吾内野手(22、大産大―駒大苫小牧)ら5選手が新加入。補強した即戦力とともに投手力と機動力に重点を置いて、初陣となる20日からのJABA北海道結成記念大会で優勝を目指す。
20代若き指揮官「愛し愛されるチームを」
創部42年目の航空自衛隊千歳に20代の若き指揮官が誕生した。「愛し愛されるチームを目指して、百折不撓(ふとう)の精神で正々堂々とまい進していきたい」と所信表明している福井監督は、これまで青森大、日体大、北大、北海学園大と練習試合を行い4戦全勝。20日から始まる結成記念大会へ弾みをつけた。
高校は北海出身。プロ野球・西武の川越誠司外野手(29、北海学園大出)らと同期で、2年秋の明治神宮大会ではベンチ入りもした。
航空自衛隊には2012年に入隊し、18年までプレー。一時、奥尻島勤務となってチームを離れていたが今春、マネジャーとして復帰。都市対抗道予選終了後の7月に監督就任の打診を受け、「やるしかないなと、すぐに覚悟は決まりました」と即答だった。
北ガス1強に待った!「状況を打破したい」
指導経験がないため、実際には2人のコーチの力を借りながらの船出となる。チームの活動以外に大切にするのは「町から応援してもらえるチームづくり」。7月31日に行われた航空祭には4万7000人の観客が詰めかけた。野球部員も交通統制や場内整理、シャトルバスのドライバーと奔走した。
9月下旬の日本選手権道予選が今は最大照準だ。「代表権はマスト。勝つだけではなくて、見てくださる観客が面白いと思ってもらえるような試合がしたい。北海道ガス1強になりつつある状況を打破したい。下馬評ではうちが一番下。ダークホースとして大会をかき乱したい」。12年以来の優勝へ、千歳基地の“新編隊”が急浮上する。
充実の新戦力 日本ハム伊藤の後輩・安田の兄弟対決に注目
航空自衛隊千歳の今季の補強ポイントは投手力と機動力。注目は駒大苫小牧高出身の安田内野手だ。北海道ガスの安田大将内野手(24)の弟で、日本ハム・伊藤大海の2年後輩。福井監督は伊賀俊輔三塁手(29)の後継者として期待している。
安田は大産大に進むも野球への情熱を失い4年春に退部。しかし昨秋、兄・大将や、和歌山大でプレーしていた双子の兄・圭吾捕手(22、JR西日本)の活躍を見て、再びスイッチが入った。大将に自衛隊入りを報告すると、「もし千歳に配属になったときに対戦できるように俺も頑張るからおまえも頑張れ」と激励を受けた。
1年目から勝負だ。「自分は大学で辞めているのでマイナスからのスタート。自分に厳しくしてレギュラーを獲って、北ガスのお兄ちゃんを倒したい」。安田兄弟のライバル物語が幕を開ける。