星槎道都大150キロ超コンビで完封リレー 札幌6大学野球秋季リーグ開幕
■札幌6大学野球秋季リーグ戦 第1節第1日(28日、 札幌円山)
4季ぶりの優勝を狙う星槎道都大が5―0で北海学園大に快勝した。先発の151キロ左腕・滝田一希投手(3年、寿都)が、6回9奪三振で試合を作ると、七回から救援した150キロ右腕・伊東佳希投手(3年、旭北)が3回被安打1。150キロ超コンビの完封リレーで開幕戦を制した。東海大札幌は3―0で札大谷に勝利。全国大学選手権で無安打無失点投球したエース左腕・渡部雄大投手(4年)が完封勝利でリーグ戦通算8勝目を上げた。
先発・滝田 自己最長6回109球「一番の投球」
無名の存在が大学で急成長した。滝田が、この日最速147キロの直球を武器に、公式戦自己最長の6回109球の力投。通算2勝目を達成し、「きょうが一番の投球。ピンチになっても、コースに決められていた。後ろに伊東がいたので、楽に投げることができた。神宮へ行くのが最低ライン。圧倒的な力で勝たないといけない」と意気込んだ。
プロ相手に覚醒した。8月14日に釧路で開催された、タンチョウリーグのソフトバンク3軍戦。先発すると6回を無失点、被安打2、10奪三振。実戦では最速となる151キロをマークした。「真っすぐで勝負しても空振りがとれた」と大きな自信を手に入れた。
天国の母と家族のためにプロの夢追いかける
寿都高では全道大会の出場経験はない。滝田家は母・美智子さんと兄2人、姉2人と弟1人の大家族。卒業後は就職を考えていた。「進学だと、お金がかかる。でも野球をやめられなくて」と、道都大へ進学した。「5歳のころから母1人で朝から夜中まで働いて育ててくれた。この大学に決まってから、ずっとプロを目指すと決めていた」。母への恩返しが滝田の原動力だった。
その母が春季リーグ中の5月6日、心筋梗塞のため52歳で急逝。「誰のために野球をやっているか? ずっと前を向けなかった」。ぽっかりと心に穴が空いたが、チームメートや周囲の支えで立ち直った。「下を向いていても母が落ち込むだけ。夢を追いかけられるのはあと1年。プロに行って、今までの分も稼いで家族みんなを幸せにしたい」。そのためにも、まずは全国切符をつかむために、マウンドで躍動する。
伊東 3回を投げ一度も二塁踏ませず「なんとか、神宮へ」
伊東が自己最速を1キロ更新する150キロをマークした。この春3勝で通算8勝の右腕。3回を投げ、一度も二塁を踏ませぬ投球だった。「開幕勝利は大きい。滝田がリズムを作ってくれたので、うまく乗っかれた。お互いライバルとして自然と意識してしまう」。開幕前日の27日には、2人だけで北広島市内の温泉で〝プチ決起集会〟を決行。「大学に入ってからまだ明治神宮大会には行っていない。なんとか、神宮へ」。切磋琢磨しながら大舞台を目指す。